NY金は、ドル安のサポートを受けて上昇し、重要なレジスタンスである2,050ドルをブレイクした。米ドルは引き続きゴールドをサポートするのか。米ドル、そしてNY金価格の今後の見通しとは。
NY金、ドルのサポート
NY金価格(ドル建、スポット)が上昇している。2023年5月に史上最高値を更新後、下落していたものの、10月以降再度基調で推移している。
イスラエルとハマスの衝突による中東情勢の緊迫化に加え、10月以降、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ織り込みが進展し、米ドル安が進展していることが金価格の上昇に繋がっている。
金は安全資産としての需要から、中東情勢緊迫化など、地政学リスクが高まった際に、価格が上昇する傾向がある。
また、NY金価格は米ドル建てで決定されていることから、米ドルが下落するほど金が多く買えるため、米ドル下落時には金価格が上昇する傾向がある。
そのため、金価格の動向を見極める上で、米ドルの動向が重要である。対円のみならず、幅広い通貨に対する米ドルの動きを示す米ドル指数(DXY)の見通し、そして金価格の見通しとは。詳しく見てみたい。
金価格と米ドル指数(DXY指数、逆目盛)
資料:Trading View
米ドル指数(DXY)の見通し
FRBの利上げサイクル終了、利下げ織り込みの進展を受け、米ドル安が進展している。金融市場の利下げ織り込みは、急ピッチな側面がある。しかしながら、米国インフレ鈍化が進展しており、FRBの利下げ開始が視野に入っていることは、引き続き米ドル安圧力となろう。
テクニカル面では、50日指数平滑移動平均線(EMA)が200日EMAを下抜け、9,20,50,200日EMAが下向き、かつ下から順に並ぶ、米ドルに弱気の「逆パーフェクトオーダー」が成立している。
テクニカル面でも弱気シグナルが点灯する中、米ドル指数(DXY)は、2023年2月2日安値100.820へ下落することを見込む。
米ドル指数が反発した局面では、右肩下がりの9日指数平滑移動平均線を上方ブレイクするかに注目。上抜けることに失敗した場合、米ドル安圧力が強いことを投資家に印象付けよう。
米ドル指数(DXY)日足チャート
トレードに役立つメール配信サービス
DailyFXからタイムリーで国内外のマーケット情報を受け取ることができます。
資料:Trading View
NY金価格の見通し
NY金価格(スポット、ドル建)は、12月1日以来はじめて、終値ベースで重要なレジスタンスである2,050ドルをブレイクし、上昇トレンドが一段と鮮明になっている。RSIは50以上70未満であり、金価格が強気モメンタムであり、一段の上昇余地があることを示している。
テクニカル面で強気シグナルが点灯し、米ドル安が進展することを見込む中、NY金価格の一段高が視野に入る。NY金価格は、2023年5月4日高値:2,082ドルをトライしよう。2,082ドルを終値ベースで上方ブレイクすることに成功した場合、史上最高値2,135ドルへ上昇する可能性がある。
ただし、海外市場参加者を中心に年末休暇に入る中、金を含めた金融市場の流動性が低下している。流動性が低下している中では、金融市場の値動きが荒くなり、NY金価格が突発的に下落する展開に注意したい。その場合、上向きの9日指数平滑移動平均線(EMA)でサポートされるかに注目。サポートされた場合、NY金価格の地合いが強いことを投資家に印象付けよう。
NY金価格(スポット、ドル建)日足チャート
資料:Trading View
新たなレポートの配信等はX(旧twitter)アカウント@DailyFXJapanで確認できます。
-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著