※2023年5月17日10時38分更新
豪ドル、豪ドル/米ドル、米小売売上高、IGCS – トーキングポイント



センチメントの悪化で豪ドル下落
センチメントの動向に連動しやすいオーストラリアドルは16日、主要通貨に対して下落した。日中の取引時間中、米国株も下落に転じた。ダウ工業株30種平均株価は、素材株とエネルギー株の不振が響き、前日比1%超下落した。一方、IT(情報技術)関連株は底堅く推移し、ナスダック総合株価指数は同0.18%安にとどまった。
米国債利回りは、堅調な米小売売上高を受け、上昇した。4月の米小売売上高は前月比0.8%増と、予想(同0.4%増)は下回ったものの、3カ月ぶりに増加に転じた。ガソリンスタンドと自動車・同部品を除いた小売売上高は同0.6%増と、予想(同0.2%増)を大きく上回った。全体として、米国の消費が健全であることが示された。
個人消費は米国の国内総生産(GDP)の中で最も大きな割合を占める。消費基盤が強ければ、経済成長を支え続け、景気後退懸念が薄れる可能性が高い。そのため、米国債利回りの上昇は、トレーダーが米連邦準備制度理事会(FRB)による目先の利下げ予想を見送り続けていることを反映していると思われる。センチメントが悪化したため、リスクを嫌う豪ドルは苦戦を強いられることになった。
豪ドルのテクニカル分析
日足チャートを見ると、豪ドル/米ドルは弱含んでいるものの、引き続き、ボックス圏相場となっている。価格は最近、100日単純移動平均線(SMA)を試すも突破できず、下降に転じた。フィボナッチ・リトレースメント水準の中間点である0.6664をさらに下回ると、3月の安値0.6568を再び試す展開となる可能性がある。



豪ドル/米ドル 日足チャート
資料:TradingView
豪ドルのセンチメント分析
一方、IGクライアントセンチメント(IGCS)によると、豪ドル/米ドルを取引する個人トレーダーの約70%がネットロング(豪ドルを買い持ち)にしている。IGCSは逆張りの指標として機能する傾向がある。ほとんどのトレーダーが買い持ちに傾いていることから、価格は下落し続ける可能性が示唆されている。また、ネットロングのポジションは昨日、先週と比較して、それぞれ5.25%、33.69%増加した。このように、現在のセンチメント(ポジション状況)および最近の変動(日次、週次でのポジションの変化)は、豪ドル/米ドル相場がさらに下落する可能性を示唆している。
--- DailyFX.com シニアストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
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