FXにおけるファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の違いを理解する
トレーダーにとってどちらの分析が優れているかという点については、大きな議論があります。ファンダメンタル派のトレーダーとテクニカル派のトレーダーでは、どちらが優れているのでしょうか?この記事では、この2種類のタイプのトレーダーは何が違うのか、そしてFXトレーダーはどのような情報に注目するのかを紹介します。
テクニカル分析とファンダメンタルズ分析の比較
テクニカル分析 | ファンダメンタルズ分析 | |
---|---|---|
定義 | チャートパターンによる値動きの予測 | 様々な経済指標を用いた価値/目標価格の設定 |
考慮するデータ | 値動き(チャート) | インフレ率、GDP、金利など |
計画対象期間 | 短期、中期、長期 | 中期、長期 |
必要なスキルセット | チャート分析 | 経済学・統計分析 |
FXにおけるファンダメンタルズ分析
ファンダメンタルズ分析とは、その国の経済状況、ひいては通貨を評価することです。通貨の値動きは考慮しません。それよりも、FXのファンダメンタル派のトレーダーは、数値データを使って特定の通貨の強さを判断します。
ファンダメンタル派のトレーダーは、その国のインフレ率、貿易収支、雇用の増加、さらにはその国の経済状況を分析します。国内総生産、雇用の伸び、さらには中央銀行の基準金利などを分析します。



これは、経済指標カレンダーの一例です。 このカレンダーで、ファンダメンタル派のトレーダーは最新のデータ発表を確認することができます。一日に多くのデータが発表されるため、関連する情報のみをカレンダーに表示する方法を知っていると便利です。

このようなデータの相対的な傾向を評価することで、トレーダーはその国の経済の相対的な健全性を分析し、その国の通貨の将来の動きに対して取引するかどうかを判断します。
こちらの表は、さまざまな経済指標が通貨の強さに及ぼす一般的な影響をまとめたものです。ただし、通貨の動きには様々な要因があるので、この限りではありません。
経済指標が通貨に与える影響
市場の見通し | 為替への影響 | |
---|---|---|
国内総生産(GDP) | 期待以上 | ポジティブ |
消費者物価上昇率(CPI) | 期待以上 | *ポジティブ |
貿易収支 | 貿易赤字(輸入額>輸出額) | ネガティブ |
中央銀行の基準金利 | 金利の上昇 | ポジティブ |
ISM製造業指数 | 期待以上 | ポジティブ |
PPI 生産者物価指数 | Better than expected | ポジティブ |
*先進国では、適度なインフレは経済成長の証しとして歓迎されます。発展途上国では、インフレ率が低下または維持されることで物価水準が抑制されるため、ポジティブな統計データと見なされます。



FXにおけるテクニカル分析
テクニカル分析では チャートでパターンを認識します。テクニカル派のトレーダーは、トライアングル、フラグ、ダブルボトムなどのチャートパターンを探します。そのパターンにもとづいて、エントリーポイントとエグジットポイントを決定します。テクニカル派のトレーダーは、ファンダメンタルズ派とは異なり、チャート上のトレンドやパターンがシグナルとなるため、値動きの根拠についてはあまり気にしません。
これは、チャートパターンの一例であるダブルボトムのパターンです。最初の安値をつけた後、わずかに反発して再度安値をつけ、その後、トレンドが反転して上昇の勢いを増すというものです。テクニカル派のトレーダーは、直近の安値(最安値)でストップロス設定し、市場が高値と安値を繰り返すのを待ってからロングトレードをおこないます。

実際には、下の図のように、USD/JPYの日足チャートで「W」の形が見えるパターンを特定する必要があります。

FXにおけるテクニカル派のトレーダーは、チャート上で確認できる値動き、トレンド、サポート・レジスタンスラインを判断します。 FXのテクニカル分析で使用されるパターンの多くは、他の市場にも適用できます。
さらに、トレーダーがFXを分析する際には、チャートに加えてインジケーターやオシレーターを利用します。移動平均線、ボリンジャーバンド、MACD、相対力指数(RSI)、ストキャスティクスなどは、テクニカル派のトレーダーの中でも最もよく使われるツールです。インジケーターは使いやすい上、明確なシグナルを提供してくれるため、テクニカル派のトレーダーに好まれています。
テクニカル分析のメリット
テクニカル分析は、多くのファンダメンタルズ派が主張するような「黒魔術」ではありません。テクニカル分析は、トレンドの方向性と強さを評価することですぐにおこなえます。 トレーダーは、トレンド分析を利用して、どのペアを取引するか、どの方向に取引するかを判断します。
下の図を見れば、テクニカル派のトレーダーはこの6,000ピップのトレンドに気づくでしょう。AUDが非常に強いのに対し、ユーロが非常に弱くなっています(これが通貨ペアの下落している理由です)。さらに、この通貨ペアは強い下落方向で取引されていることが明らかになっています。これをトレンドといいますが、トレーダーは重要な価格帯、サポート・レジスタンスライン、インジケーターなどを利用して、できるだけ早く、かつ正確にトレンドを把握しようとします。

強い通貨と弱い通貨の見分け方を知ることで、どの通貨ペアがトレンドになる可能性が高いのかを知ることができ、より高い確率でトレードができるようになります。トレーダーは、この特定したトレンドにしたがって、EUR/AUDペアを売って取引します。
FXにおけるテクニカル分析とファンダメンタルズ分析の比較:2種類の分析のまとめ
ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析では、取引に対する戦略や手法が大きく異なります。それぞれの分析から、取引の意思決定や売買のタイミングをサポートする独自の価値や洞察を得ることができます。中には、自分の好みの取引スタイルや目標に応じて、この2つのタイプの分析を別々に使うことを好むトレーダーもいますが、多くのトレーダーはこの2つを組み合わせて使っています。ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析を組み合わせて使うことのメリットは多岐にわたります。
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