欲望は、程度の差はありますが、ごく自然な人間感情の一つです。しかし、残念ながらトレードの観点から見ると、欲望はトレーダーの助けになるというよりも、むしろ邪魔になることの方が多いものです。
欲は、理想的なトレードを悪い状況に変えてしまうもので、悪いトレードにおいては、さらに悪い状況にしてしまうものなのです。本記事では、欲望をコントロールするためのヒントと、欲望によるトレードの失敗を防ぐ方法をご紹介します。



FXのトレードにおける「欲」とは何か、それがトレーダーの成功に与える影響とは?
欲望とは何かを強く欲することですが、多くの場合、富を強く欲することで現れます。欲望は、マーケットがトレーダーにとって不利な方向に動くと容易に手に負えない状況になってしまいます。また、トレードで勝っている時でさえも、意思決定にマイナスの影響を与える可能性があるのです。
トレードの際に現れる欲望の例
- 負けているトレードで「ナンピン(ポジションを倍に増やす)」する
- 勝っているポジションに資金を追加する
- レバレッジのかけすぎ
欲望は、効果や幸福、富を最大化することにフォーカスする意識を必要以上に高めてしまうもので、精神状態を変えてしまいます。そのような意識が強いと、トレーダーが通常では考えられないトレードをしてしまうことがあるのです。
また、欲を出すことで取引口座がリスクにさらされることにもなります。ナンピン、勝ちポジションへの過剰な追加投資、レバレッジのかけすぎ等によって、追証が発生したり、口座の資金を枯渇させてしまったりすることになるのです。
欲がトレードに与える影響の最たる例
下のチャートは、「欲望」がもたらす悪影響の一例です。このチャートでは、緑の大きなローソク足が現れたことで市場がより高値に向かうと期待し、EUR/USD(ストップロスなし)のロングポジションを持ったトレーダーのシナリオを表しています。ポジションを建てた後、マーケットは予想に反して下落し、負けポジションの状態となります。欲に駆られたトレーダーの場合、既存のポジションを保持するだけでなく、マーケットが好転する兆しを見せたときにナンピン買いをする(新たなロングポジションを建ててしまう)可能性があります(2番目の青い矢印)。
比較的低い価格帯で追加購入したこと、負けを勝ちに変えようとする考えで、トレーダーの頭はいっぱいになってしまっているでしょう。さらに、このような欲はトレーダーの目をくもらせ、気づかないうちにトレンドの方向とは逆方向にトレードしてしまうリスクがあるのです。

欲望は、多くの場合恐怖という感情もともなっています。トレードをおこなっていく中で、恐怖は何度も現れます。だからこそ、最初から恐怖心をコントロールする方法を学ぶことが重要なのです。



FXのトレードで欲張らないようにする方法
幸いなことに、欲望は他の感情と同様にコントロールしておさえることができます。時間と適切な規律があれば、欲に邪魔されることなくトレードをすることができるようになります。
欲は規律の対極にあるものとも言えます。規律を守ることができる人は、計画を立て、それを忠実に守ることができるので、欲望の罠におちいることはほとんどありません。トレーダーが正しい道を歩み、計画から外れた取引をしないための素晴らしい方法として、プランを立てること、トレード日記をつけることがあげられます。
また、トレーダーは、厳密なストップロスやターゲットの目標pipsを設定してからトレードを開始するべきです。これはつまりリスク・リターン比率を指し、成功するトレーダーの特長として最も重要なものであることが明らかになっています。
欲望をコントロールして対処していくことは、数回の取引でできるようになるものではありません。しかし、欲望がトレードに対してどのように悪影響を及ぼすのかを意識し、上述したポイントを規律に取り入れて実行するトレーダーこそが、「欲望に邪魔されない」トレードの達成に大きな一歩を踏み出すことができるでしょう。
