-FXのトレード日記とは、取引の記録であり、過去の経験から学んだことをもとに戦略を練るのに役立ちます。経営者が在庫を管理するのと同じように、トレーダーも決済したポジションを記録しなければなりません。
トレード日記を継続することは、最初難しく感じるかもしれません。しかし、取引を記録することで、自分の取引テクニックについての重要な問題の解決に役立つでしょう。これによって、取引の一貫性を高めることができ、取引に関しての説明付けもできるようになり、取引テクニック全体を向上させることができるのです。この記事では、トレード日記の作成に関して知るべきことをこれらのポイントに沿って明らかにしていきます。
- エクセルを使用したFXのトレード日記
- 自分に合った日記作成の方法を見つける
- FXトレードのヒント:トレード日記と取引の流れ



Forex Trading Journal Excel

FXのトレード日記のテンプレートの例
上記のExcelで作成したFXのトレード日記の例のように、日記には取引した通貨ペアやポジションサイズ、ポジションがロングかショートか、取引日、取引の自信、ファンダメンタルズ分析またはテクニカル分析を使用したかどうか、リスク・リターン比率、値動き、取引が成功したかどうか、などを記入してみるとよいでしょう。
また、エントリー価格、ストップ価格、リミット価格などの詳細や、取引したロット数なども記載することをおすすめします。データが多ければ多いほど、過去の取引を後から評価することが容易になります。
そのほか、日記にはメモを書くスペースも必ず設けてください。複数エントリーの手法を使うトレーダーは、チャートの時間軸、使用したインジケーター、市場の状況(レンジ、トレンド、ブレイクアウト)など、取引の判断材料となる情報を記録しておきたいはずです。
このような日記を活用すると、そのうち勝ち負けのトレードの特徴を見極められるようになります。
専門アナリストによるFXのトレード日記作成の手法
タイラー・イェル、経験豊富な通貨ストラテジスト

タイラー氏は2008年からFX、オプション、上場投資信託(ETF)、商品先物を中心に取引を行っています。
タイラー氏の典型的なトレード日記は数行で構成されており、内容には次の項目が含まれています。
- 採用したリスク管理/ポジションサイジング戦略のレビュー
- 基礎となる環境(トレンド相場かレンジ相場か、ボラティリティーの指標の状況はどうなっているか)。
また、口座資金のドローダウンを最小限に抑えられ、テクニカル分析の見方が変わった時点でエントリー注文を出し、ストップ注文を出すべきである理由も書かれています。
タイラー氏はこのように述べています。「私はより長期的に市場にとどまることができるように、あるいはテクニカル分析の傾向が無効になるまで、取引サイズを小さくすることがよくあります。フォローアップでは、現在採用している戦略に対してどの通貨ペアが最もよく反応しているかに焦点を当てます。」
ジェームズ・スタンレー、DailyFXの通貨ストラテジスト

ジェームズ氏は1999年からトレーディングを開始し、FXに加えて株価指数やETFを中心に売買しています。
ジェームズ氏は、日記というよりも元帳をつけています。週に一度、前回の更新以降におこなった取引を更新するようにしています。ジェームズ氏は、「株式、オプション、FXなどを同一条件で比較できるように、すべてをパーセント表示で管理しています。」と述べています。
「これを記入していると、主に損益に注目することで生じたトレンドが見えてきます。何か問題があれば、大抵は1日か2日考えて、何らかの形で解決策を考えます。」
ドローダウン時の改善点について、ジェームズ氏は、自分がどのぐらいアグレッシブになるか、あるいは保守的になるかを考えます。「悪い流れに乗ってしまったときの答えは、たいていスロットルを戻して、ポジションサイズを小さくし、レバレッジを下げ、取引数を減らして選び抜いたものをエントリーすることです。」
「その対極にあるのが保守的になりすぎることで、それはほとんどの場合その場ではっと気づくので、もっとアグレッシブになろうと自分を励ます必要はあまりないのです。」
このように、当社アナリストの日記や取引の流れを簡単に紹介しましたが、あなたの心に響くかどうかはわかりません。正しい方法があるわけではありませんが、以下のような様々なアプローチがありますので、トライしてみてください。



自分に合ったFXのトレード日記作成方法を見つける
自分に合ったトレード日記の作成方法を見つけるには試行錯誤が必要ですが、いくつかやり方があります。トレード日記を非公開にして自分だけで見直すか、他のトレーダーに見てもらってフィードバックをもらうかです。どちらの方法も効果的で、取引の説明付けができるようになるでしょう。
パーソナルな日記という手段をとる場合は、自分の考えやスクリーンショットをWord文書に保存するのが最も簡単でしょう(ただし、考えを書き留めるだけなら、紙のノートでも構いません)。
公開日記の場合は、ブログやフォーラムに自分のトレードや考えを記録するのがよいでしょう。こうすれば、世界中のトレーダーがあなたのトレードの勝敗や引き分けを確認することができます。
自分で日記を見直す場合も、オンラインで人に検討してもらう場合も、自身の口座で明確かつ有効な取引をおこなうための特別な動機付けとなり、戦略から外れることはより困難になります。
心の片隅で、自分の決断に後から日記で向き合わなければならないことや、日記を公開する場合には他の人にも向き合わなければならない可能性があることがわかります。そうすることで、戦略のロジックではなく感情に任せて判断してしまったり、「創造性」を発揮して根拠のない無謀な取引をしてしまったりすることを自覚できるようになります。
取引を説明付けできるようにすることは良いことです。多くのトレーダーは、自分では合理的に取引の決定をしていると錯覚してしまいますが、後になって戦略にまったくしたがっていなかったことに気づくことがあります。
FXトレードのヒント:トレード日記と取引の流れ
トレーダーの取引の流れは、チャートの分析とニュースの確認、取引の入力と管理、そして過程の最後(場合によっては最初)にトレード日記の作成を組み合わせたものでなければなりません。
チャートをチェックする
テクニカル分析をしたチャートのパターンを見るか、あるいはニュースの発表などのファンダメンタルズ分析を元に行動するか、市場で得られるチャンスを見極めます。この時点で、取引をする通貨ペアの候補と、それを選択したときの思考過程を日記に記録しておくとよいでしょう。



機会を見出す
エントリーポイントを特定して、チャートにマークアップし、エントリーをした理由をチャートに記入してください。
取引を開始する
取引の注文を出したら、利益目標と利益確定を追加します。この時点では、おそらくトレードで忙しくて日記の作成はできないでしょう。
取引を管理する
この時点での取引管理には、ピラミッディングや複数の利益目標などが考えられます。取引の管理には全神経を集中させる必要があるため、日記はスクリーンショットだけになるかもしれません。
取引の見直しと日記作成
取引を決済した後は、スクリーンショットやメモを評価して取引を分析し、どこでミスを犯したかを考え、改善するために何をすべきかを検討することができます。