※2023年5月22日15時05分更新
金、金/ドル - 値動き
- 金相場は先週19日、パウエルFRB議長の発言を受け、反発した
- それでも、6週間ぶりの安値まで下落したことは、金の上昇トレンドに亀裂が入り始めた兆候かもしれない
- 金/ドルの見通しと注目すべき主要な水準とは?



金先物相場が先週、6週間ぶりの安値まで下落したことは、上昇トレンドが途切れ始めた兆候かもしれない。もちろん、それは「下降」が唯一の方向だと示唆しているわけではなく、恐らく天井が多かれ少なかれ、明確になったことを意味しているのだろう。
金/ドルは、重要なサポートであり、かつ昨年11月初旬に上昇トレンドが始まって以来の初めての重要な転換点である4月中旬の安値1,970を割り込み、金相場の潮目が変わりつつあることを示している。つまり、日足チャートでは、トレンドが上昇から、横ばいまたは下降に転じている可能性がある。
2022年末からの上昇のペースとその度合い、そして長期チャートで依然として上昇に勢いがあることを考えると、今後の金相場は、一方向の下落というよりは、下方バイアスが伴うレンジ相場となる可能性が十分にある。先週金曜の反発はこのシナリオに沿った動きと言える。
金 (XAU/USD)日足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
先週金曜、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言により、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で政策金利は据え置きとなる可能性が高まったため、金相場は反発した。パウエル議長は、信用状況のひっ迫は、「我々の目標を達成するために、政策金利をそれほど引き上げなくてもよいかもしれない」ことを意味するとした。パウエル議長は、今後は「会合ごとに」金融政策の意思決定がなされることを改めて強調した。市場では90%が、6月の会合で金融政策を据え置くと予想している。
金 (XAU/USD)240分足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
テクニカルチャートでは、参照する時間枠チャートによってトレンドが変化する。日中チャートでは、金/ドルのトレンドは弱気に転じている(トレンド/モメンタム指標に基づき色分けされた240分足のローソク足チャート参照)。したがって、先週金曜の反発は、2,005-2,020近辺の厳しいレジスタンス(240分足チャート上の200期間移動平均線および3月中旬の高値を含む)を前に、失速する可能性がある。
金 (XAU/USD) 240分足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
日足チャートでは、色分けされたローソク足チャートが示すように、金/ドル相場は長期的な強気トレンドの中で、もみ合い局面に移行している。過去の動きを勘案すると、もみ合いは数日から数週間に及ぶことが多いようだ。
金 (XAU/USD) 日足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
今のところ、金/ドルは、1,925-1,950の重要な収束サポートエリア(89日移動平均線および日足チャート上の一目均衡表の下端を含む)を上回る水準を維持している。これを割り込むと、6カ月に及ぶ強気トレンドを見直すきっかけとなる可能性がある。ここ数カ月、長期チャートではモメンタムの継続が懸念されている。これについては、3月28日付、4月16日付、4月24日付、5月10日付の記事、そして先週の記事「金価格見通し:分岐点は目の前?」(5月17日付)をご参照ください。
このチャートでは、青いローソク足は強気が優勢な局面、赤いローソク足は弱気が優勢な局面を示しています。黒いローソク足はもみ合い局面を表していますが、時にはトレンドの終焉を形成することもあります。
注:ローソクの色は予測ではなく、単にその時のトレンドを示しています。実際、ローソクの色は次のローソクの際に変化することがあります。200期間移動平均線付近やサポート/レジスタンス付近、もみ合い/不安定な値動きの際は、本来のトレンドとは異なる、騙しのパターンが発生する可能性もあります。筆者は情報の正確さを保証しかねます。また、過去のパフォーマンスは将来のパフォーマンスを示唆するものではありません。本情報のご利用は、自己責任にてお願いします。



--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
ジャラディ氏に連絡するには、Twitterで @JaradiManish までお願いいたします。