S&P500指数は、年初来高値を終値ベースで更新、20カ月ぶりの高値で取引を終えた。S&P500の上昇に今までにない動きが。FOMCを控えたS&P500の今後の見通しとは
S&P500、20カ月ぶり高値
S&P500指数は上昇し、年初来高値を終値ベースで更新し、20カ月ぶりの高値で取引を終えた。
12~13日開催されるFOMC(米連邦公開市場委員会)を控え、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げサイクル終了との期待感が投資家センチメントの改善を促し、S&P500指数は上昇した。
S&P500指数は、12月に入り、セクター別ではエネルギーセクターを除く全セクターが上昇しており、幅広い銘柄に上昇が見られる。
資料:Trading ViewよりDailyFXが作成。12月に入ってからのパフォーマンス。
マグニフィセントセブンとS&P500
資本財や不動産などのセクターのパフォーマンスが、情報技術セクターを上回っている。2023年の米国株はマグニフィセントセブン(アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン・ドットコム、メタ・プラットフォームズ、エヌビディア、テスラ)に代表される大型ハイテク株にけん引されてきた。
しかしながら、12月に入り、マグニフィセントセブンの株価はまちまちの動きであり、S&P500指数の上昇をけん引していない。このことは、上昇の裾野がマグニフィセントセブン以外の幅広い銘柄に広がっており、上昇に出遅れている銘柄を中心に米国株が一段と上昇し、S&P500指数が更に上昇する可能性を示唆している。
ただし、S&P500が一段と上昇するかの当面の鍵は、FRB(米連邦準備制度理事会)が鍵を握ろう。
資料:Trading EconomicsよりDailyFXが作成。2023年11月末を100として指数化。
FOMC
12月12~13日にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催される。FRB(米連邦準備制度理事会)による利上げサイクル終了との見方が強まっている。
更に、金融市場は、2024年5月の利下げ開始を織り込んでいる。FOMCにて、金融市場が織り込んでいる2024年前半の利下げを強くけん制する見通しが示されるかどうか、そしてどの程度の利下げの可能性を示唆するかに注目である。
来年の利下げ織り込みが一段と進展するような見通しが示された場合、米国金利低下に伴い、S&P500指数が上昇することを見込む。
資料:BloombergよりDailyFXが作成。
S&P500指数の見通し
S&P500指数は、年初来高値を終値ベースで更新した。ただし、RSIは買われ過ぎを示唆する70を超え、MACDラインがシグナルラインを下抜け、S&P500に弱気の「デッドクロス」が示現している。
テクニカル面で弱気シグナルが点灯する中、FOMCの重要性が一段と増している。FOMCにて、来年の早期利下げを示唆するような見通しが示された場合、2022年3月29日高値4,637ポイントを上方ブレイクし、心理的節目である4,700ポイントが視野に入る。
一方、FOMCにて、FRBが高い政策金利を当面維持するとの見通しが示された場合、テクニカル面で弱気シグナルが点灯する中、S&P500は下落しよう。その場合、S&P500は最近のサポートである9日指数移動平均線でサポートされるかに注目。下方ブレイクした場合、9月1日高値4,541ポイントへ下落することを見込む。
S&P500日足チャート
資料:Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著