WTI原油、OPECプラス、空売り、サウジアラビア、減産、IGCS、テクニカル分析―トーキングポイント



6月初めの主要産油国で構成されるOPECプラスの会合を控える中、サウジアラビアのエネルギー相は、原油先物の空売り勢に対して新たな警告を発した。4月にOPECプラスは予想外の追加減産を決定し、原油価格が急上昇、原油先物を空売りしていた投機筋は痛手を被った。4月の原油価格の急上昇後、一時空売りポジション(ショートポジション)は減少していたが、5月に入り再度ショートポジションが増加しており、原油価格の下落に繋がっている。
個人トレーダーも同様に原油価格に弱気に転じつつある。これは、IG顧客センチメント(IGCS)を見れば分かる。IGCSは時に逆張り指標として機能することがある。IGCSからは、強気のシグナルが示されている。詳しく見てみたい。

資料:Bloomberg よりDailyFX.comが作成。年初来
原油のセンチメント見通し:強気
IGCSによると、原油を取引する個人トレーダーの約74%がネットロング(原油を買い持ち)にしている。ほとんどの持ち高はまだネットロングに傾いているため、価格は下落し続ける可能性が示唆されている。しかし、昨日、先週のネットロングのポジションはそれぞれ4.31%、11.25%低下している。このことを考えると、価格はまもなく上昇に転じる可能性がある。
IG顧客センチメント:原油




原油価格のテクニカル分析:上昇
WTI原油先物の日足チャートでは、MACD(移動平均収束拡散手法)ラインがシグナルラインを上抜けており、上昇トレンドに転じつつあることを示唆している。RSIも下落トレンドから上昇トレンドへの転換を示唆する50超えに転換している。加えて、ローソク足が9、20日指数移動平均線を上抜けており、同様に上昇トレンドを示唆している。OPECプラス会合での原油の追加減産(価格上昇要因)に対する警戒感もあり、原油価格の上昇を見込む。水平レジスタンスである76.72ドルへの上昇が視野に入る。上昇の勢いが衰えなかった場合、心理的節目である80ドルへ上昇する可能性がある。下落リスクとしては米国債務上限問題が上げられる。債務上限引き上げに対する懸念が高まった際にはリスクオフの流れが強まり、リスク資産の一つである原油価格の下落圧力になろう。その際は、米国政府の戦略的石油備蓄の拡充のための購入の可能性が高まり、かつ水平サポートラインである70ドルまで下落する可能性がある。
原油価格日足チャート

資料:Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著