FOMO (Fear of Missing Out、取り残されることへの恐れ)を上手に対処することは、トレーダーにとって非常に大切です。FOMOは感情面で悪影響を与えるだけでなく、判断力を鈍らせ論理を覆い隠してしまいます。それはトレードに関する意思決定をする際に問題となるものです。
トレードにおけるFOMOとは、どのようなものなのでしょうか。トレーダーは「大きなチャンスを逃しているのではないか」あるいは「他のトレーダーの方が成功しているのではないか」と考えた時に恐怖を感じるものです。FOMOを理解し、それは何から起こるものなのか、そしてどのように反応すべきなのかをわかっているトレーダーは、FOMOの根本的な原因である自分自身の心の奥にある何かに対処できるのです。
本記事では、FOMOを理解し抑制する、あるいは最初から発生させないための解決策を紹介していきます。



FXや株などのトレードにおけるFOMOはどこから生じるのか
FOMOは感情的な原因が心の奥底にあり、私たちの相互につながり合っている日常生活から生じています。現代のトレーダーはソーシャルメディアが当たり前の世界に生きています。そこには他人のサクセスストーリーがあふれています。
FOMOは、トレード中に感じる恐怖や欲、嫉妬、焦りといった様々な感情や情動から起こります。また、トレードの状況は刻一刻と変わるため、様々な状況下でこのような感情が生まれてくるのです。さらにニュースやマーケットの急激な変動、他のトレーダーとの会話などFOMOが生じる可能性がある事象は数多く存在しているのです。
いつもFOMOを感じていませんか?FXや株などのトレードにおけるFOMOとの付き合い方
FOMOを抑えることは簡単なことではありません。まずは気を落とさないようにしましょう。FOMOと付き合うことは思考のプロセスを変えるということであり、すぐにできることではありません。せっかくのチャンスを逃してしまったという気持ちを常に感じている状態がFOMOです。
一つ覚えておいて欲しいのは、恐怖心は誰にでもあるもので、経験豊富なトレーダーでも当然有しているものなのです。FOMOに対処し、より良いトレーダーになるための5つの方法をここでご紹介します。
1) FOMOを受け入れる
FOMOを克服するための最初のステップは、その感情をまずは受け入れることです。そうすることによって安心感を得ることができます。「他のトレーダーがより良いトレードをして成功している」と考えてしまうことは孤独や孤立を感じることになるものです。
気をつけるべき兆候
次のようなトレーダーは、FOMOを有していることを自覚する必要があるかもしれません。
「FOMO?FOMOなんてありませんよ。トレードは完全にコントロールできています」
FOMOを受け入れないということは、トレーダーが自分の習慣を変えることなく、他人頼みの満たされないサイクルにおちいっているものなのです。
2) トレードにおける心理を理解する
FOMOは心理学と本質的に結びついています。 トレードで生じてくる感情にのっとられると、トレーダーは自分の判断に疑問を抱くようになります。
気をつけるべき兆候
大局的な視点ではなく、「いま、この瞬間」に焦点を当てているために生じる感情があります。
「あのチャンスを逃すなんて信じられない!こんな機会は滅多にあるものじゃない。他のトレーダーはうまくやっただろうな。利益を生んでいくんだろうな」
このような感情にもとづいたトレードはリスクが高く、トレードを始める、パニックになる、売る、後悔する、また同じことをする…といった周期的な行動につながる可能性があります。

このチャートを見ると、FOMOにとりつかれたトレーダーに何が起こるのかがわかります。今回は日本円の買われすぎや売られすぎを判断するために、RSIをインジケーターとして用いています。2本目の矢印の箇所では、トレーダーが自信過剰になり、次のチャンスを逃すのではないかと心配している状況が現れています。さらに興奮すると欲や失敗への恐れが心を支配し、より大きな勝利を得るための売りのシグナルを無視してしまうことで結果的に損失を出してしまいます。
3) ソーシャルメディアの活用をコントロールする
ソーシャルメディアはトレーダーにとって有益であると同時に有害なものでもあります。皆がトレードに勝っているように見え、幻滅してやる気を失いがちになるからです。
気をつけるべき兆候
「Twitterをチェックしてヒントを得ようと思っても、トレードで勝っている人のツイートばかり。どうして私は彼らのようになれないのか」
常にこのように考えてしまう人は、ソーシャルメディアとの距離感を考える必要があるかもしれません。
ソーシャルメディアでは、自分が知らないことを他人が知っているように感じて、自信を失ってしまうことがありますが、それは建設的なことではありません。また、FOMOを抱きやすくもなります。
4) トレード日記をつける
トレード日記は、自分の活動を記録しそれを振り返るのに役立つ優れた自己反省ツールです。有益な習慣を見つけ出し、FOMOにもとづくトレードにつながる可能性のある習慣にストップをかけることができます。
気をつけるべき兆候
このように感じることがあったら、トレード日記をしっかり活用する必要があるかもしれません。
「これはチャンスだと思う。トレードをおこなってみようかな。マーケットは私にとって有利に動いているようだ」
その場合、まず時間をかけて過去のトレードを評価し、自分に合った方法を確立する必要があります。その際にはトレード日記が大いに助けになるはずです。



5) リスクを管理する
リスクをきちんと管理することは、FOMOから脱却するための重要なステップです。恐怖心からトレードをおこなってしまった場合においても、適切なリスク管理によってコントロール不能な損失には至らないでしょう。
気をつけるべき兆候
リスク管理戦略は、次のように感じている状況で役立ちます。
「みんなこのマーケットでトレードしているんだから、そんなにリスクが高いはずがない…チャンスを逃したくない」
FOMOはトレードを魅力的に感じさせるものですが、戦略にすることはできないのです。リスクを管理するためには、あらゆる結果を考慮することが大切です。
FXや株などのトレードでFOMOを未然に防ぐ方法
FOMOに対処するためには、最初からFOMOが発生しないような形で取引することです。この章では、他人を気にするのではなく、自分のトレード目標や活動に集中できる考え方や実行できるためのヒントをご紹介します。
- ルーチンを確立する トレードは孤独な活動で、FOMOを引き起こす原因の一つになっています。そのような場面においては、他人の動向に関わらずに、自分に課したルーチンを守ることが大変有効です。ルーチンを定めることで、マーケットを分析する時間ができることに加えて、他人に邪魔されることなく自分に合ったトレードを計画することや決断を下すことができます。自分自身に適しているルーチンがあると、集中力が高まります。
- 未来に目を向ける 過去にこだわらないようにしましょう。人は自然とネガティブなことばかり気にかけてしまうものですが、そうならないための策を講じることができます。最初はある程度の損失を被ると大変な状況のように感じますが、自信がある戦略的なトレーダーは、一定の損失はトレードの全体像の一部にすぎないことを知っています。必ず次のチャンスがある。このマインドがトレードの心理に組み込まれると、より簡単にFOMOを回避できるようになります。また、当社のセンチメント分析ツールを活用することで、より正確な予測やシグナルの強弱を見極めることができるため、自信を持ってトレードを進めることができるようになるでしょう。
- トレードプランを決める 上述したことに加えて、トレードプランを決めることが重要です。計画性のないトレードをおこなうことで、資金を過剰に投入したり誤ったタイミングでトレードしてしまうということが発生します。「 今の状況は特別なんだ」と判断することは容易ですが、事前にあらゆる事態を想定したトレードプランを策定しておくことが大切です。見落としがないトレードプランを策定できた時には、長期的な視点からも勝つトレードに向けて活用できるツールになります。
- トレードを楽しむ 自分のトレードに対する満足度が上がると、FOMOを感じにくくなります。そのために重要なのは、「自分らしいトレードを本当にマスターできた」と感じることです。DailyFXでは、あらゆるレベルのトレーダーを対象にした教材を用意しています。基本的な知識を身につけることや、より高度な戦略を発見するのに役立つ情報が満載です。
JOMOを楽しもう
JOMOとは、Joy Of Missing Outの略です。常につながっていなければいけない不安から離れて目の前の事象を楽しみ、本来の自分を取り戻してくことを意味しています。一歩下がって自分の考えをまとめてみる、自身の領域とルーチンを楽しむことはとても大切です。JOMOについてもさまざまな意見がありますが、思考パターンを変えてFOMOを解消することや調整していくことは、堅実な心理学的戦略です。
詳しくは、FOMOからJOMOへをご覧ください。
FXや株などのトレードでFOMOを克服する方法
ここではFOMOに対処し、より理想的なトレーダーになるために必要な方法をまとめています。
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