※2023年3月2日17時25分更新
対ユーロ、豪ドル、英ポンドでの米ドル見通し – 値動き予測
- 米ドルは、他の主要通貨に対し堅調に推移している
- FRBによる利上げ観測が高まっているにもかかわらず、5カ月におよぶ米ドルの下落トレンドはまだ反転していない
- ユーロ/米ドル、英ポンド/米ドル、豪ドル/米ドルの見通しとは？
米ドルは、米国の利上げサイクルが想定していたより長期化するとの見方が定着しつつあることを背景に、他通貨に対して堅調に推移している。2月に入って発表された米経済指標の多くが予想を上回ったため、米連邦準備制度理事会（FRB）の利上げ観測が強まっている。金利先物は、FRBの誘導目標金利が9月に5.5％程度でピークを迎えると織り込んでいる。1月末時点でのピーク予想は5％を下回っていた。誘導目標は現在、4.50－4.75％となっている。
米ドル指数 - 重要なレジスタンスはまだ突破していない
最近の米国指標が好調な内容となっているうえ、FRBの利上げ観測は大幅に高まっている（今年の利下げ予想はほぼ排除された）にもかかわらず、米ドル指数は足踏み状態となっている。詳しく言うと、米ドル指数は日足チャートで、昨年6月の安値101.30を重要なサポートとして維持しているが、重要なレジスタンスの突破には至っていない。指数は現在、1月初旬の高値105.65、200日移動平均線、一目均衡表の雲の上端が収束した重要な天井エリア105.50－106.50を試している。
米ドル指数 日足チャート
資料：TradingView
105.50－106.50付近を上方ブレイクすると、2022年後半から続く下値模索の展開が崩れ、米ドル安トレンドが転換する可能性が出てくる。昨年11月下旬の高値108.00を上抜けた場合、数週間続くと見ている弱気見通しを見直す必要がある。一方、下降局面では、当面のサポートとなっている2月上旬からの水平トレンドライン103.75付近を割り込むと、米ドル安が再来する公算が大きい。
ユーロ/米ドル - 重要なサポートを上回る水準で推移
ユーロ/米ドルは、1月の安値1.0480と89日移動平均線が収束する重要な下値エリアを維持している。価格は今週、反発を試みているが、これまでのところ、2月上旬からの水平トレンドラインが位置する1.0700付近の手強いレジスタンスを突破できずにいる。上昇トレンド継続の可能性を高めるには、このレジスタンスの上方ブレイクが必要となる。一方、1月の安値1.0480を下方ブレイクすると、5カ月にわたる上昇トレンドの継続が危ぶまれることになり、200日移動平均線（現在1.0330）に向かって下降する可能性が出てくる。
ユーロ/米ドル 日足チャート
資料：TradingView
英ポンド/米ドル - 200日移動平均線近辺でもみ合う展開
ここ数週間、英ポンド/米ドルは、1月初旬の安値、89日移動平均線、200日移動平均線、一目均衡表の雲の下端を含む1.1840付近のかなり強力な収束サポート近辺でのもみ合いが続いている。これを割り込むと、昨年12月と1月の高値で形成されることになる小型のダブルトップが発生し、1.1250に向けて下降する可能性がある。さらに重要なのは、このような下方ブレイクは、昨年9月以降に形成された高値圏での高値・安値切り上げのパターンが崩れ、昨年9月以降の回復軌道が行く手を阻まれるリスクにつながるという点である。
英ポンド/米ドル 日足チャート
資料：TradingView
豪ドル/米ドル - ヘッドアンドショルダーパターンが重しに
豪ドル/米ドルは、1日発表の中国の製造業購買担当者景気指数（PMI）が予想外に上昇したことを受け反発したが、サポートからレジスタンスに転換した200日移動平均線に接近するにつれ、上昇の勢いは失われているように見える。息切れの一因は、価格が2月下旬に、1月中旬からの水平トレンドライン0.6870に位置する重要なサポートを下回り、0.6580を目標水準とする小型のヘッドアンドショルダー（三尊天井、左肩：1月18日の高値、頭部：2月2日の高値、右肩：2月14日の高値）が示現したからかもしれない。豪ドル/米ドルは現在、昨年11月下旬の安値0.6585という非常に強力なサポートに近づいているが、4カ月にわたる上昇トレンドを継続するためには、このサポートを上回る水準を維持する必要がある。
豪ドル/米ドル 日足チャート
資料：TradingView
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--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
