2023年4月17日17時03分更新
ドル、円、ドル/円 – 値動き



日本の重要なインフレ指標の発表を控え、円はドルに対して重要な岐路に立たされている。
ブルームバーグによると、21日発表予定の3月のコアインフレ率は前年同月比3.2%上昇と、日銀の物価水準目標である2%より依然として高水準にあるものの、2月(同3.3%上昇)からは軟化すると予想されている。日銀の植田和男新総裁は先週開かれた就任の記者会見で、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)を含む大規模緩和政策の変更は急がないと強調したため、ドル買いが進んだようだ。
ドル/円 240分足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
植田総裁は、YCCの大きな変更は、経済、物価、金融の動向を見て決めるべきと述べた。同時に、日銀は金融政策の正常化に動くタイミングが遅すぎることなく、割に早い段階で何らかの調整を行う可能性を残しておくべきだとの見解も示した。しかし、今のところ、新総裁のハト派的なトーンは、特に5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で米連邦準備制度理事会(FRB)はあと1回の利上げを実施するとの観測が高まる中、短期的にはドル/円にとって何らかのサポートとなりそうだ。このトピックについては、4月16日付記事「金価格の週間見通し:金/ドルは慎重な姿勢に転じる時が来た?」をご参照ください。
ドル/円 日足チャート
資料:TradingView
一方、より長い時間枠チャートにおいて、ドル/円の見通しは引き続き弱気に見える。最近の記事で指摘したように、日足チャートでは、ドル/円のトレンドは下向きである。これについてはトレンド/モメンタム指標に基づく色分けされたローソク足チャートをご覧ください。
ドル/円 日足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
しかし、直近のドル/円は狭いレンジにとどまっており、240分足チャートでは2つの潜在的な値動きパターンが展開されている。一つは、3月下旬から形成されているアセンディング(強気の)トライアングル(上昇型の三角形)。もう一つは、小型のダブルトップ(4月12日と4月17日の高値で形成)であるように思われる。値動きはまだ展開中でそれらのパターンは確定していないが、今後の値動き次第ではトレンドに対する意味合いが異なってくる可能性がある。
4月上旬からの水平トレンドラインである134.00付近を決定的に上抜けた場合、強気のチャートパターンであるアセンディングトライアングルが示現し、137.00-138.00付近が目標価格となる可能性がある。一方、134.00にある水平トレンドラインを上抜けできない場合は、先週の安値132.00に向けて下落するリスクが高まる。132.00を割り込むと、弱気なチャートパターンであるダブルトップを誘発し、130.00に向けて下降するリスクが出てくる。
ドル/円 週間チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
日足チャートと週足チャートを見てみると、ドル/円は1月の安値127.20に、週足チャート上の一目均衡表の雲下端と2022年5月の安値126.35が重なるかなり強いサポートがある。一方、上昇局面では、134.00を突破すると、3月高値137.90の厳しい天井があり、ほぼ同水準に200日移動平均線(現在137.10付近)のより強いレジスタンスも位置している。
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--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
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