※2023年4月3日13時15分更新。
金、Gold、金融政策、米金利、ヘッドアンドショルダー-トーキングポイント
米国金利の動向から金価格の上昇は見込めず
金価格は金融不安の高まりを受け、安全資産需要から一時1トロイオンス当たり2,000ドルを突破、史上最高値である2,070ドルも視野に入った。しかしながら、各国政府・当局による迅速な対応を受け、金融不安に対する懸念が後退、株高上昇を受け、金価格は反落し、1,960～1,970ドルで推移している。
金価格上昇には金融不安の高まりを受け、米国金利が大きく低下したことが寄与した。先週金曜日公表の米FRB（中央銀行）が注目するPCEデフレーターは市場予想を下回る結果となり、インフレ圧力の緩和を示した。しかしながら、依然として前年比で5％と、目標とする2％のインフレ目標とは大きく乖離している。また、米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、インフレを鈍化させるために金利を高水準で維持する必要があるとの発言をする等、FRBはインフレ抑制・重視の姿勢が鮮明である。金融市場は年末までに2回近い利下げを織り込んでいるが、インフレの粘着性を勘案すると行き過ぎであり、利下げ織り込みが剥落する可能性があろう。少なくとも、一段の利下げ織り込みに伴い米国金利が低下し、金価格への上昇圧力となる可能性は低いと予想する。
資料：Trading Economicsより作成
資料：BloombergからFed Funds Futuresのデータを用いてDailyFX.comが作成
金/ドル (XAU/USD）：三尊天井が形成、弱気トレンドへ
金価格の4時間足チャートを確認すると、中立パターンを示す対称三角形（シンメトリカルトライアングル）を形成している。ただし、上昇トレンドの反転パターンを示唆するヘッドアンドショルダー（三尊天井）も形成されており、1,955ドルに位置するネックラインの下抜けが確認できた。今後は下落トレンドが鮮明化、ヘッドとネックラインからは、現在200期間移動平均線が位置する1,887ドルまでの下落が視野に入る。また、MACD（移動平均収束拡散手法）ラインもシグナルラインを下抜けており、下落トレンドを示唆している。
金/ドル (XAU/USD)4時足チャート
資料：Trading Viewより作成
日足チャートを確認すると、RSI（相対力指数）では弱気のダイバージェンスが示現しており、上昇の勢いが衰えてきていることを示している。また、4時間足チャート同様、MACDラインもシグナルラインを下抜ける寸前であり、弱気トレンドに入りつつあることを示唆している。4時間足チャートも含め、弱気のシグナルが増加しており、金価格に弱気の見通しとする。まずは１月後半から2月前半にかけてのレジスタンスであった1,930を下方ブレイクできるか注目したい。下方ブレイクした場合、4時間足チャートの三尊天井から推測される1,887ドル、そして、２月の安値である1,807ドルが視野に入る。
金/ドル (XAU/USD)日足チャート
資料：Trading Viewより作成
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著
