※2023年3月30日13時34分更新。
金、金融政策、米ドル、米金利-トーキングポイント
金融不安は史上最高値を前に反落
金融不安に対する懸念が後退しており、リスク選考姿勢が強まっており、金価格一時1トロイオンスあたり2,000ドルを付けた後、下落基調にある。米国金融システム不安の後退により米ドル安が一服していることや、米国金利の低下に一服感があることも金価格の下落に影響していよう。金利が付かない金は、米国金利上昇（低下）局面で相対的な魅力度が減少（増加）し、金価格が下落（上昇）する傾向がある。また、金の価格は米ドル建てで決定されていることから、USDが安い（高い）ほど金が高く（安く）買えるため、USD下落時には金価格が上昇する傾向がある。
金価格と米ドルインデックス（軸反転）
資料：Trading Viewより作成
金価格と米国10年債利回り（軸反転）
資料：Trading Viewより作成
金/ドル (XAU/USD）：短期的に中立も下落が視野
金価格は、心理的節目であり、逆ヘッドアンドショルダーから推測される価格目標2,000ドルを明確に上抜けることに失敗した（現在1,960ドル近辺）。22年４月にも2,000ドルを上抜けることに失敗しており、レジスタンスとして強固であることを示している。RSI
（相対力指数）では弱気のダイバージェンスが示現しており、上昇の勢いが衰えてきていることを示している。米国の政策金利見通しは、次の会合での１回の利上げを実施した後（もしくは据え置き）、その後利下げを実施し、年末までに現状より0.5％低い政策金利が予想されている。欧米の金融不安が高まった際にも米FRB（米国中央銀行）はインフレ抑制・重視の姿勢を示した。インフレ圧力が依然として根強いことから、一段の利下げ織り込みが進むことは見込みづらく、金価格の上昇要因となる米国金利の低下余地は限定的であろう。一方、20日移動平均線が50日移動平均線を上抜けるゴールデンクロスが成立しており、下落トレンドが鮮明とは言い切れず、中立の見通しとする。ただし、弱気への転換を示すMACD（移動平均収束拡散手法）ラインが下向きかつ、シグナルラインを下抜ける寸前であり、下抜けた場合には弱気へ転換する可能性が高まる。下落の際には、１月後半から2月前半にかけてのレジスタンスであった1,930を下方ブレイクできるか注目したい。下方ブレイクした際には、下落トレンドが鮮明となり、２月の安値である1,807ドルが視野に入ろう。
資料：BloombergよりDailyFx.comが作成
金/ドル (XAU/USD)日足チャート
資料：Trading Viewより作成
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著
