※2023年4月26日11時05 分更新
ドル、円、NYダウ、米ファースト・リパブリック銀、リスク回避 – トーキングポイント
- リスク回避の動きが復活し、ドルと円は上昇
- 米ファースト・リパブリック銀行が資産売却を検討、NYダウは下落
- ドル指数に陽の包み足（抱き線）が示現
リスク回避による動きでドル買い、円買い需要が増加
25日のニューヨーク外国為替市場で、安全資産の逃避先であるドルと円が主要通貨に対して上昇した。金融市場のボラティリティが上昇する中、投資家はリスク回避のため、資金をドルと円に向かわせた。米国株式市場では、ダウ工業株30種平均が前日比1％安、S&P 500種株価指数が同1.6％安、ナスダック総合指数が同1.9％安となった。株式市場における投資家の不安心理を示す「恐怖指数」とも言われるVIX指数は11.08％急上昇した。VIX指数がこれ以上、上昇すると、株式セクターの分散投資戦略は破たんするかもしれない。
25日の米国株安は、24日の取引終了後に米地銀ファースト・リパブリック銀行（FRC）が決算発表したことがきっかけとなった。FRCの1－3月期決算は予想を上回ったものの、預金が前年比で36％急減したことが明らかになったためだ。FRCは経営立て直しのため、1,000億ドルの資産売却を検討していると発表したが、投資家はこのニュースを好意的に受け止めず、株価は50％近くも急落し、株式市場に打撃を与えた。
25日の金融市場では、典型的なリスク回避の相場展開となった。トレーダーは安全な米国債買いに殺到し、米国利回りが急落する中、米債券価格が上昇した。このような動きは、ドルの急伸にもかかわらず、金価格を押し上げた。為替市場では、センチメントの動向に敏感なオーストラリアドルやニュージーランドドルが主要通貨に対して上昇した。
米連邦準備制度理事会（FRB）の金融政策がハト派に傾くとの観測が高まったが、金利動向に敏感なハイテク関連株は急落した。実際、25日に見られた市場の反応の多くは、不況の初期段階を思わせるものであった。しかし、米マイクロソフトと米アルファベットの決算が予想を上回り、米株式市場は25日引け後にやや落ち着きを取り戻した。
ドルとセンチメントは今後、どうなっていくのか。26日のAPAC（アジア太平洋地域）市場では、リスク回避の動きが続くかもしれない。そのため、日経平均株価や豪ASX 200株価指数などに下落圧力がかかる可能性がある。このような状況は当面、ドル相場にはプラス材料となり、ある程度、円相場も支えるかもしれない。豪ドル/米ドルは、オーストラリアの消費者物価指数（CPI）の発表を控え、様子見ムードが広がっている。
ドル相場のテクニカル分析
ドル指数は、100.82－101.29の重要なサポートゾーンのすぐ上に、再び陽の包み足（抱き線）のローソク足パターンを残した。これにより、2月の安値がサポートとして再び強化され、このレンジはドルにとって極めて重要な転換ポイントとなっている。これを上方ブレイクすれば、強気な反転につながる可能性が開かれる。一方、下降に転じると、昨年後半から続く下落トレンドが復活し、下げ幅を拡大する可能性がある。
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ドル指数 日足チャート
資料：TradingView
--- DailyFX.com シニアストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
ドゥブロスキー氏に連絡するには、Twitter で @ddubrovskyFX までお願いいたします。
