ウォルト・ディズニーが決算を発表。米国企業の4-6月期決算シーズンが終わりを迎えているが、ハイテク企業中心のナスダック100、景気敏感株中心のNYダウ構成企業全体の決算状況。そしてナスダック100、ＮＹダウの今後の見通し。
サマリー
- ディズニーの決算は強弱入り混じるも株価上昇
- 米国企業の決算が終盤戦に突入する中、好決算が持続
- NASDAQ100指数、NYダウ指数の見通し
ディズニー、決算受け上昇
米メディア大手のウォルト・ディズニーが4-6月期決算を発表し、一株当たり利益は事前予想を下回った一方、売上高は予想を下回った。有料動画配信サービス「ディズニープラス」の会員数が一段と減少し、動画配信サービスで引き続き苦戦していることが鮮明となった。また、ディズニープラスの月額料金を最大27％引き上げることが明らかになった。ディズニーの株価は、決算発表直後は売上高が予想を下回ったことを受け、時間外で一時下落したものの、動画配信サービスからの損失が大幅に縮小したことが明らかになると、そ後上昇している。
資料：DailyFX.com企業決算カレンダー
米国企業の4-6月期企業決算も終盤戦に突入している。ナスダック100指数構成企業の80％、ディズニーも含まれるNYダウ指数（ダウ平均株価）構成企業の87％が決算発表を終えた。
ナスダック100構成企業の現在までに公表された企業決算は概ね市場予想を上回っている。NASDAQ100総合指数構成企業の既に決算を発表した企業の内、4-6月期（今期）は、約68％は売上高が、約77％が一株当たり利益の事前予想を上回っている。1-3月期（前期）の決算同様、NASDAQ100総合指数全体ベースで、売上高と利益は事前の市場予想から大幅に上ぶれている。FRBの積極的な利上げの逆風を受けやすいハイテク企業で構成されたナスダック100構成企業が好決算を示したことは、今後FRBの利上げ終了が視野に入る中、米国株のサポート要因になろう。
資料：BloombergよりDailyFXが作成。事前予想はBloombergの集計値
NYダウ（ダウ平均株価）構成企業も、ナスダック100構成企業同様、好決算を発表している。NYダウ構成企業の既に決算を発表した企業の内、4-6月期（今期）は、約73％は売上高が、約84％が一株当たり利益の事前予想を上回っている。1-3月期（前期）の決算同様、NYダウ全体ベースで、売上高と利益は市場予想から大幅に上振れ、好決算が続いている。
資料：BloombergよりDailyFXが作成。事前予想はBloombergの集計値
ナスダック100指数の見通し
好決算が続いているものの、テクニカル面では弱気シグナルが点灯している。上昇トレンドの反転を示唆する「ダブルトップ」パターンが示現している。また、5月以降の上昇トレンドにおいてサポートラインとして機能してきた20日指数移動平均線を下方ブレイクしている。6月26日安値14,687レベルを下抜けると、5月以降のナスダック100指数の連続する高値・安値の切り上がりが途絶え、上昇トレンド終了の可能性が一段と鮮明になる。
一方、10日発表の米国インフレ率が鈍化を示し、FRBの利上げ終了が近いとの見方が強まった場合、金利動向に敏感なハイテク株中心のナスダック100指数の追い風となろう。その場合、20日指数移動平均線（現在15,379レベル）を上抜けるかに注目。上抜け、短期的な上昇圧力が強まり、弱気な「ダブルトップ」パターンの頭である15,932レベルを上方ブレイクすると、弱気パターンが無効となり、５月以降の上昇トレンド再開が視野に入る。
ナスダック100指数日足チャート
資料：Trading View
NYダウ指数の見通し
好決算が続いているものの、ナスダック100同様、NYダウもテクニカル面では弱気シグナルが点灯している。ＭＡＣＤラインがシグナルラインを下抜ける弱気の「デッドクロス」が成立している。20日指数移動平均線（現在35,099レベル）を終値ベースで下抜けると、5月中旬から8月頭にかけてのNYダウの値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント38.2％水準34,498レベルへの下落が視野に入る。
一方、米国景気が底堅く推移する中、FRBの利上げ終了が一段と明確になった場合、8月1日高値35,679レベルをトライしよう。上抜けると、NYダウの上昇圧力が強まり、5月以降の上昇トレンド再開の可能性が高まる。
ＮＹダウ日足チャート
資料：Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著
