円、ドル/円、日銀、介入、テクニカル分析 – トーキングポイント
- 日銀の介入が示唆され、円は14日のNY市場で上昇した
- これは、当面は緩和政策が続くことを示している可能性がある
- 日銀の介入はいつも成功しているわけではない。ドル/円は下落するのか?



日銀介入の可能性がにわかに高まる中、円は上昇
14日のニューヨーク外国為替市場で、円はドルに対し、1.08%上昇した。2021年以来続く円安基調を考えると、特筆すべき回復ぶりである。日銀が、市場参加者に相場水準を尋ねる「レートチェック」を実施し、1998年以来となる市場介入に踏み切るための準備作業に入ったとの報道が流れた。これが円を押し上げた要因である。市場では為替介入への警戒感が強まったが、警戒する必要は本当にあるのだろうか。
この報道が流れる前、日本の政府関係者や金融政策担当者は、しばらくの間、口先介入を繰り返してきたが、具体的な手段を講じることはなかった。結局のところ、日銀は他の主要国とは全く立ち位置が異なる。日銀はマイナス金利、量的緩和、イールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作)を継続し、超低金利政策を維持している唯一の国である。
一方、他の主要な中央銀行はほぼすべて、金融引き締めスタンスをとっている。世界の主要中央銀行と日銀との格差は拡大しており、それが円の重しとなっている。国債の利回りスプレッドを見れば、このことがよくわかる。14日の市場の動きは、日本の政府関係者が円安阻止に向けて一歩進んだことが背景にあると見られている。
面白いことに、介入に動くということは、日銀が緩和政策を継続するシグナルとも受け取れる。日銀の元審議委員である片岡剛士氏は、早ければ、来年半ばまでに日銀は政策転換するかもしれないと述べている。当面の間、日本政府は金融政策以外の手段で円高を食い止めなければならないようだ。
歴史的に見れば、日銀の介入は必ずしも成功したとは言えない。1999年1月頃から2000年4月頃まで、日銀は円高を阻止するため、少なくとも18回の円売り介入を実施した(米連邦準備制度理事会と欧州中央銀行による協調介入も1度あった)。それでも円は上昇し続けた。これは円が強すぎた例だが、中央銀行が有効な政策を実行するためには信頼性が必要とされる。



ドル/円 日足チャート
日足チャートでは、ドル/円は、8月からの短期上昇トレンドラインのすぐ上に位置している。RSI(相対力指数)では、下降トレンドへの転換シグナルと言われるダイバージェンスが示現しており、上昇の勢いが弱まっていることを示している。このラインを下抜けると、100日単純移動平均線(SMA)が下値支持線となり、上昇の勢いが復活する可能性がある。一方、上昇局面では144.99を突破すると、1998年の高値147.65が視野に入る。

資料:TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
ドゥブロスキー氏に連絡するには、Twitter で @ddubrovskyFX までお願いいたします。
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