金相場のファンダメンタルズ分析見通し - 弱気
- 金価格は先週急落し、先週金曜の下げ幅は昨年7月以来最大となった
- 米雇用者数が予想を大幅に上回って増加し、市場は現実に引き戻された
- 今後1週間のFRB高官による発言が、早期利上げ停止観測を後退させる可能性がある



先週のニューヨーク金先物相場は予想通り、大幅下落となった。金相場は過去5営業日で3.24%下落した。これは、昨年10月中旬以来、最大の下落率である。相場下落のほとんどは先週木曜と金曜に起こり、それぞれ1.95%、2.47%下落した。先週金曜の下落率は、昨年7月以来最大となった(下図参照)。
先週は、1日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)会合に注目が集まった。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、今年末に向かってFRBが利下げを実施すると予想する市場関係者を納得させることができなかったようだ。面白いことに、最も値が大きく動いたのは、FRBが政策金利を25ベーシスポイント引き上げた後だった。市場が今後のFRBの方向性を見極めるには、いくつかの重要な米経済指標を確認する必要があった。
1つ目は、予想外に減少した米新規失業保険申請件数。そして先週金曜に発表された米非農業部門雇用者数(NFP)だ。1月のNFPは51万7,000人と、予想(18万8,000人)を32万9,000人も上回る予想外の大幅増加となった。1996年以降で(2020年5月の極端な異常値を除く)このような予想外な結果となる確率は約4%である。
ただ、米NFPのデータには、季節調整や政府の年次ベンチマーク推計に起因するいくつかの変動要因があった。それでも、米失業保険申請件数と合わせると、FRBがここ数十年で最も積極的な利上げを実施した後にもかかわらず、米国の労働市場は堅調に推移しているように見える。市場は年末に向けての利上げ実施予想を約12-13ベーシスポイント追加した。その結果、ドルが買われ、米国債利回りは上昇した。
このような動きは金相場には重しとなり、今後1週間はこの傾向が続くかもしれない。米経済指標に関して、今週注目されているのは失業保険申請件数とミシガン大学消費者信頼感指数の発表くらいで、市場の関心はむしろFRB高官の発言に移りそうだ。
今週は多数の米政策担当者が講演などで発言する予定だ。その中にはジェローム・パウエルFOMC委員長、ジョン・ウィリアムズ副委員長、パトリック・ハーカー委員も含まれている。米雇用統計の結果を受け、FRB高官は引き続き、利下げには慎重な姿勢が必要であると強調する可能性がある。これは早期利上げ停止観測の後退につながり、金相場にとっては逆風となる。



金相場の週間パフォーマンス
--- DailyFX.com シニアストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
ドゥブロスキー氏に連絡するには、Twitter で @ddubrovskyFX までお願いいたします。