豪ドル - トーキングポイント
豪ドル/米ドルは、高値圏での高値・安値の切り上げが続く中、月間高値 (0.7014)を更新した。50日移動平均線(SMA 、0.6968)を上回る水準を維持しており、8月2日のオーストラリア準備銀行(RBA)の政策金利決定を前に上昇を続ける可能性がある。
豪ドル/米ドル、RBAの利上げ決定を前に、50日SMAを上回る水準で推移
6月の値動きとは異なり、このところ豪ドルが米ドルに対して上昇した要因に、移動平均線の影響はないように見受けられる。米国の国内総生産(GDP)が予想外の伸び率鈍化となり、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペースにブレーキがかかる可能性があるとの見方から、今後数日間で豪ドルは対米ドルで大幅反発となるかもしれない。

一方、オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は「豪州経済は引き続き底堅い」との見解を示しており、50ベーシスポイントの追加利上げを実施すると見られている。「(RBAの)理事会は豪州の金融環境の正常化に向けた追加措置を講じることを見込んでいる」としており、フィリップ・ロウ総裁らは年内いっぱい、積極的な利上げを実施するように思われる。
RBAは7月の政策会合議事録で 、「パンデミック前の10年間は、推定される名目中立金利はキャッシュレートを上回っていた」ことを明らかにし、オーストラリアの家計や企業が金利上昇に備え続ける状況に変わりはないようである。とはいえ、「インフレの高騰は2022年の後半にピークを迎えると予想されている」ため、RBA理事会は金融引き締め政策の実施を急いでいないようにも思われる。
もしRBAが金融政策のフォワードガイダンスでハト派的な金融政策に方針を転換した場合は、豪ドル/米ドル相場の足を引っ張る可能性があり、豪の政策金利決定を前に、建玉が減少する中、弱気に傾いたセンチメントは継続しそうである。

IGクライアントセンティメント(IGCS)によると、現在58.83%のトレーダーが豪ドル/米ドルをネットロング(豪ドルの買い持ち)しており、ロングとショートの比率は1.43対1となっている。
ネットロングのトレーダー数は昨日より1.84%多く、先週より3.57%少ない。一方、ネットショートのトレーダー数は昨日より15.32%少なく、先週より2.40%減少している。今週初めにトレーダーの55.76%が豪ドル/米ドルをネットロングしていたため、ネットロングの減少が群集行動に影響することはほとんどなかった。一方、ネットショート・ポジションの減少は、豪ドルが対米ドルで月間高値(0.7014)まで上昇する過程で起こっている。
そのような状況を鑑みると、豪ドル/米ドルは高値圏で高値・安値を切り上げながら、RBAの会合に向けて、さらに大きく回復する可能性がある。50日SMA(0.6968)を上回る水準を維持していることから、6月高値(0.7283)からの下落分を取り戻す動きが続くかもしれない。



豪ドル/米ドル 日足チャート

資料:Trading View
- 豪ドル/米ドルは、50日SMA(0.6968)が最近の相場上昇ラインを下回っているため、高値圏での高値・安値を切り上げる展開が続く可能性がある。0.7050 (38.2%リトレースメント)から 0.7070(61.8%リトレースメント)にかけての領域を終値ベースで上抜けると、0.7130(61.8%リトレースメント)から 0.7180 (61.8%リトレースメント)近辺のフィボナッチが重なるオーバーラップエリアが視野に入ってくる
- 次の注目エリアは、0.7260(38.2%エクスパンション)付近で、6月高値(0.7283)を上回ると、0.7370(38.2%エクスパンション)から0.7420(23.6%リトレースメント)にかけての領域が意識されるだろう
- しかし、0.7050(38.2%リトレースメント)から0.7070(61.8%エクスパンション)の領域を終値で上抜けできない場合は、豪ドル/米ドルは一定のレンジ内にとどまりそうだ。 0.6940 (78.6%エクスパンション) を割り込む場合は、 0.6820(23.6%リトレースメント)のエリアが再度視野に入ることになりそうである



--- DailyFX.com 為替ストラテジスト デイビッド・ソン著
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