WTI原油、先物ポジション、IGCS、テクニカル分析―トーキングポイント



WTI原油価格が低迷している。原油先物市場のポジションから、投機筋は価格の先行きに過去と比べて弱気であることが分かる。また、個人トレーダーは徐々に原油価格の先行きに対して弱気に転じつつあることが、IG顧客センチメント(IGCS)より分かる。IGCSは時に逆張り指標として機能することがある。IGCSや原油先物の投機筋のポジションは、強気のシグナルを示している。詳しく見てみたい。
原油先物のポジション動向:強気
ヘッジファンド等の投機筋の原油先物市場のポジションを確認すると、ネットロング(WTI原油先物を買い持ち)のポジションは低水準及び低下傾向である。投機筋は原油に対して弱気であることを示唆している。既に弱気であることは、一段と弱気になる余地が少ない、先物ポジションの動向は一段の価格低下圧力になりにくいと言える。逆に、今後原油価格に対して強気に転じるにつれ、ロングのポジションを積み増し、原油価格の上昇要因となる可能性がある。

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成。
原油のセンチメント:強気
IGCSによると、原油を取引する個人トレーダーの約80%がネットロング(原油を買い持ち)にしているため、逆張り指標の観点では価格は低下する可能性を示唆している。しかしながら、ネットロングのトレーダーの割合は過去と比べて高水準であり、今後低下する可能性がある。また、昨日、先週と比べてネットロングのトレーダー数は0.34%、5.24%低下しており、個人トレーダーは原油に対して弱気に転じつつある。このことを考えると、逆張り指標の観点で原油価格は上昇する可能性がある。
IG顧客センチメント:米国原油




資料:IG顧客センチメントより抜粋
原油価格のテクニカル分析:中立
WTI原油先物の日足チャートでは、MACD(移動平均収束拡散手法)ラインがシグナルラインを上抜けており、上昇トレンドに転じつつあることを示唆している。RSIも売られ過ぎの30から反転し、上昇トレンドへの転換を示唆する50に向けて緩やかに上昇しており、原油価格の上昇を見込む。水平レジスタンスである76.72ドルへの上昇が視野に入る。リスクとしては金融不安や米国債務上限問題が上げられる。これらに対する懸念が高まった際にはリスクオフの流れが強まり、リスク資産の一つである原油価格の下落圧力になることが見込まれる。その際は、米国政府の戦略的石油備蓄の拡充のための購入が期待される67ドルまで下落する可能性がある。
原油価格日足チャート

資料:Trading View



-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著