7月のFXの季節性アノマリーに関する概要:
- 7月は通常、米ドルが小幅な下落に見舞われる
- 7月に入ってコモディティ通貨は好調で、豪ドル、カナダドル、ニュージーランドドルがそれぞれ、5年単純移動平均線を上回っている
- 7月は今のところ、米国株と金の両相場にとって良い月となっている



月の初めには、過去数年にわたりFXに影響を与えてきた季節性によるアノマリーを見直す必要がある。7月については、過去5年と10年のパフォーマンスに注目したい。どちらも、2008-2009年の世界金融危機以降に中央銀行が積極的に為替介入し、その後は景気刺激策に動くものの大きな効果は得られなかったという時代の流れがあり、この状況は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが回復しつつある現状と似ている。
過去4カ月間の場合と同様に、異例な状況が続いている際には価格動向の指標としての季節性の使用は、やや実用性が伴わない面があることに留意されたい。ロシアのウクライナ侵攻が続く中、世界のコモディティ市場は混乱が続き、中国の容赦ないゼロコロナ対策の影響もあり、世界のサプライチェーンは依然として滞っている。残念ながら、季節性によるトレンドは信頼性や実用性の面で、引き続き、あまり重要視できないと言える。
FXの月次季節性アノマリーに関する要約 - 2022年7月




ユーロ FXの季節性アノマリー(ユーロ/米ドル)

7月は季節性の観点からは、ユーロ/米ドルにとって強気な月である。過去5年間の平均上昇率は1.21%で、年間で2番目に良い月となっている。過去10年間では平均0.24%の上昇率を記録しており、年間で4番目に良い月となっている。
英ポンド FXの季節性アノマリー(英ポンド/米ドル)

7月は季節性の観点からは、英ポンド/米ドルにとって強気の月である。過去5年間の平均上昇率は0.53%で、年間で5番目に良い月となっている。過去10年間では、平均変化率はゼロで、年間で6番目に良い月となっている。
円 FXの季節性アノマリー(米ドル/円)

7月は季節的な観点からは、米ドル/円にとって弱気の月である。過去5年間は平均で0.65%下落、過去10年間では0.51%下落しており、共に年間では3番目に悪い月となっている。
豪ドル FXの季節性アノマリー(豪ドル/米ドル)

7月は季節性の観点からは、豪ドル/米ドルにとって強気の月である。過去5年間では平均で0.65%上昇し、年間で4番目に良い月となっている。過去10年間では平均で0.05%下落し、年間で6番目に良い月となっている。



ニュージーランドドル FXの季節性アノマリー(ニュージーランドドル/米ドル )

7月は季節性の観点からは、ニュージーランドドル/米ドルにとって強気の月である。過去5年間の平均上昇率は0.68%、過去10年間の平均上昇率は0.29%と、共に年間で4番目に良い月となっている。
カナダドル FXの季節性アノマリー(米ドル/カナダドル)

7月は季節的な観点からは、米ドル/カナダドルにとって弱気の月である。過去5年間の平均下落率は0.91%、過去10年間の平均下落率は0.04%と、共に年間で3番目に悪い月となっている。
スイスフラン FXの季節性アノマリー(米ドル/スイスフラン)

7月は季節性の観点からは、米ドル/スイスフランにとって混在する月である。過去5年間では平均で0.59%下落しており、年間で5番目に悪い月となっている。過去10年間では6番目に悪い月で、平均で0.31%の上昇となっている。
米国 S&P500の季節性アノマリー

7月は季節性の観点からは、米国のS&P500種指数にとって非常に強気の月である。過去5年間の平均上昇率は2.93%、過去10年間の平均上昇率は2.49%で、共に年間で3番目に良い月となっている。
金価格の季節性アノマリー(金スポット/米ドル)

7月は季節性の観点からは、金価格(金スポット/米ドル)にとって強気の月である。過去5年間は平均で2.74%の上昇、過去10年間では平均で1.44%の上昇を記録し、共に年間で3番目に良い月となっている。
-- DailyFX.com シニア・ストラテジスト クリストファー・ベッキオ著