※2023年3月16日17時18分更新
NYダウ、S&P 500、個人トレーダーのポジション状況、テクニカル分析 – IGCSによる米国株アップデート



先週の米シリコンバレー銀行の破綻や、直近ではクレディ・スイスの経営問題など、金融市場が動揺していることを受け、米国株式相場のボラティリティが高まっている。これに対応すべく、個人トレーダーはダウ工業株30種平均とS&P 500種株価指数の買い持ちを実際に増やしている。これは、IGクライアントセンチメント(IGCS)を見ることで確認できる。IGCSは逆張り指標として機能する傾向がある。個人トレーダーの買い持ち増加は、株価のさらなる下落を示唆しているのだろうか。
NYダウのセンチメント見通し - 弱気
IGCSによると、ダウ平均を取引する個人トレーダーの約64%がネットロング(ダウ平均を買い持ち)にしている。半数以上がネットロングであることから、価格の下落が続く可能性が示唆されている。ネットロングのポジションは昨日と先週に比べ、それぞれ14.64%、15.14%増加した。このように、現在のセンチメント(ポジション状況)および最近の変化(日次、週次でのポジションの変化)を考慮すると、ダウ平均の逆張り取引バイアスはさらに弱気に傾いていると考えられる。
NYダウのテクニカル分析
ダウ平均は、昨年11月に形成された重要なサポートゾーンである31,738 – 32,017を上回る水準で推移している。価格はまた、昨年12月を始点とする下降チャネルの下限ラインにも近づいている。この下限ラインは、目先の重要なテクニカルポイントになり得、50日単純移動平均線(SMA)に向けて上昇する可能性が開かれるかもしれない。逆にこれを下回ると、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準31,153が意識される展開になるだろう。
資料:Trading View
S&P 500のセンチメント見通し - 弱気
IGCSによると、S&P 500種株価指数を取引する個人トレーダーの約58%がネットロング(S&P 500種指数を買い持ち)にしている。半数以上のトレーダーがネットロングにしていることから、価格の下落が続く可能性が示唆されている。ネットロングのポジションは、昨日と先週に比べ、それぞれ8.91%、7.84%増加した。このように、現在のセンチメント(ポジション状況)および最近の変化(日次、週次でのポジションの変化)を考慮すると、S&P 500種指数の逆張り取引バイアスはさらに弱気に傾いていると考えられる。



S&P 500のテクニカル分析
S&P500種指数もサポートを上回る水準で推移している。フィボナッチ・リトレースメント水準の中間点である3,855.25は維持されている。当面のレジスタンスは100日SMAである。この水準を上抜ければ、23.6%の水準4,041まで上昇し、その後は1月高値を目指す展開となろう。しかし、2月下旬に上昇ウェッジを下方ブレイクしたため、長期のテクニカル分析見通しは引き続き、弱気を維持する。サポートを下回ると、61.8%ポイントの3,771を意識しながら、昨年10月の安値に向け、下落する展開が予想される。
資料:Trading View
--- DailyFX.com シニアストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
ドゥブロスキー氏に連絡するには、Twitter で @ddubrovskyFX までお願いいたします。