※2023年4月28日11時40分更新
豪ドルの値動き： 対米ドル・ユーロ・円・英ポンドでの見通し
- 豪ドルは、いくつかの主要通貨に対して売られ過ぎ状態に見え始めている
- ユーロ/豪ドルおよび英ポンド/豪ドルは、強いレジスタンスに接近している
- 豪ドル/円の下落の勢いは、強力なサポートに近づいているため、減速している
- 豪ドル/米ドルは、この中で最も脆弱に見える
豪消費者物価指数（CPI）に対する市場の反応が一段落し、豪ドルはいくつかの主要通貨に対して重要なサポートに接近する中、売られ過ぎの様相を呈し始めている。これは必ずしも下落トレンドの反転を意味するものではないが、少なくとも短期的に下げ止まるきっかけとしては十分かもしれない。
19日に発表された今年1－3月期の豪CPIは伸びが鈍化したため、豪ドルは全面的に下落した。豪CPIに対する反応からは、市場が豪CPIの減速より、むしろインフレ基調に注目することを選んだことが示唆されている。これに関するより詳しい内容については、「豪ドル、豪CPI発表後持ち直す：豪ドル/米ドル の見通しとは？」（4月26日付記事）をご覧ください。
オーストラリアの1－3月期のCPIは前年同期比7%上昇し、前期（同7.8%上昇）から減速した。予想は同6.9%上昇だった。しかし、3月のインフレ率は前年同月比6.3%上昇と、予想（同6.5%上昇）、2月（同6.8%上昇）をともに下回った。インフレ率は依然としてオーストラリア準備銀行（RBA、中央銀行）の物価目標である2－3％を上回っているが、伸びが鈍化していることが示されている。ただ、このインフレ率の減速が、RBAが5月の理事会において利上げを見送るよう促すのに十分かどうかは、微妙なところである。
RBAは4月上旬の理事会で金利を据え置き、これまでの利上げがより広い範囲の経済に影響を及ぼしているかを確認するためにさらに時間が必要だとしたが、追加引き締めの可能性は残した。4月4日に開催したRBA理事会の議事要旨には、「その後の理事会で金融政策を引き締める必要があるかどうかを明確にすることが重要であった」と記されている。市場では、オフィシャルキャッシュレートは8月までに3.64％（現在3.6％）まで引き上がると織り込まれており、19日の豪CPI発表直前の3.72％から上昇している。
一方、テクニカルチャートによると、豪ドルは下落しているが、短期的には下げ止まりそうに見える。
ユーロ/豪ドル - 厳しい壁に接近
ユーロ/豪ドルは、2022年半ばからの上昇チャネルの上端とほぼ重なる、2020年10月の高値1.6825というかなり厳しいレジスタンスに近づいている。14週RSI（相対力指数）は現在、買われ過ぎの領域にあり、2023年初頭からの上昇のペースと範囲を考えると、少なくとも調整売りが出る可能性が高まっている。
ユーロ/豪ドル 週足チャート
資料：TradingView
英ポンド/豪ドル：買われ過ぎの状況に
英ポンド/豪ドルも同様に買われ過ぎているようで、14週RSIは重要な水準70に接近している。前回、英ポンド/豪ドルが反転した際は、RSIが70近辺だった。価格が2021年からの水平トレンドラインが位置する1.9150付近の厳しい壁に近づいている今、RSIの70接近は特に重要なことである。
英ポンド/豪ドル 週足チャート
資料：TradingView
豪ドル/円：収束サポート
豪ドル/円は、昨年来の弱気基調が続いているが、下降トレンドは勢いを失いつつある。豪ドル/円は安値を切り下げており、モメンタムは明らかに減速している（MACD指標を用いた週足チャート参照）。しかし、豪ドル/円には強力な収束サポートがあり、少なくとも最初の試みでこれを割り込むのは難しそうだ。収束サポートには、週足チャート上の一目均衡表の雲下端、89週移動平均線、2021年からの水平トレンドラインである85.75付近が含まれる。
豪ドル/円 週足チャート
資料：TradingView
豪ドル/米ドル： 反発力は弱い
恐らく、上記の通貨のうち、豪ドル/米ドルが最も脆弱そうである。3月と4月の反発力は弱く、結局、2－3月の下落のリトレースメント38.2%の水準で失速している。豪ドル/米ドルは現在、2022年末からの水平トレンドラインという重要な底値である0.6575付近を試している。これを下方ブレイクすると、小型ダブルトップ（4月高値で形成）が大まかに示唆する目標価格である0.6520へ向かって下落する可能性が開かれ、その後は0.6385が控えている。
豪ドル/米ドル 日足チャート
資料：TradingView
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--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
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