※2023年4月26日15時08分更新
豪ドル/米ドル、豪ドル - 値動き



豪ドルは、きょう午前に豪消費者物価指数(CPI)が発表されると、米ドルに対してやや持ち直した。豪CPIはオーストラリアの物価上昇圧力が依然として高いことを示したため、豪中銀がさらなる引き締めに動くとの見方が引き続き支持されたことで、豪ドル買いを誘った。
オーストラリアの今年1-3月期の消費者物価指数(CPI)は前年同期比7%上昇と、予想(同6.9%上昇)は上回ったものの、前期(同7.8%上昇)からは減速した。とはいえ、オーストラリア銀行(RBA、中央銀行)の物価目標(2-3%)を依然として大きく上回った水準である。豪CPIは前期比では1.4%上昇で、予想は1.3%上昇、前期は1.9%上昇だった。トリム平均値は前期比1.2%上昇と、予想(1.4%上昇)、前期(1.7%上昇)をともに下回って減速を示した。RBAの物価目標に向けた緩やかなインフレ率の鈍化は、引き締めサイクル終了と言うには時期尚早と示唆している。市場は、オフィシャル・キャッシュレートは8月までに3.81%(現在3.6%)になると織り込んでおり、豪CPI発表直前の3.72%から上昇している。
オーストラリアのインフレ率とエコノミック・サプライズ指数
資料:ブルームバーグ、チャート:エクセルで作成
RBAは今月初めの理事会で金利を据え置き、これまでの利上げがより広い範囲の経済に影響を及ぼしているかを確認するためにさらに時間が必要だとしたが、追加引き締めの可能性は残した。4月4日に開催したRBA理事会の議事要旨では、「その後の理事会で金融政策を引き締める必要があるかどうかを明確にすることが重要であった」とされている。
議事要旨によると、理事会メンバーはインフレ率が「依然として高すぎ、労働市場は非常にひっ迫している」として、25ベーシスポイントの追加引き上げを検討したという。また、4月に利上げを見送る前には、予想外の人口増加と賃金の伸びも考慮したとしている。
豪ドル/米ドル 5分足チャート
資料:TradingView
オーストラリアのマクロ経済指標は、エコノミック・サプライズ指数が示すように、ここ数週間、下振れた内容となっている。失業率は50年来の低水準で推移しており、雇用市場はひっ迫しているが、労働市場に緩やかな減速の兆しが見えてきている。また、海外の動向(米国の景気後退リスクや銀行問題による信用の引き締めなど)も、豪経済見通しの下振れリスクを高めている。
豪ドル/米ドル 日足チャート
資料:TradingView
プラス面では、中国のマクロ経済指標がここ数週間、予想を上回っており、アナリストは世界第2位の経済大国である中国の2023年の経済見通しを上方修正している。中国はオーストラリアの最大の輸出相手国であるため、中国の成長見通しが改善されれば、オーストラリアの成長見通しを押し上げることになる。まとめると、リスク選好度が低下しない限り、マクロ経済的な観点からは、豪ドル/米ドルにとって今のところ、状況は拮抗しているように見える。
テクニカルチャートで豪ドル/米ドルは最近、狭いレンジで推移しており、レンジの下値は3月の安値0.6550、上値は4月初旬の高値0.6795とほぼ重なる89日移動平均線付近の厳しい天井をやや下回る水準で、天井に上値を抑えられている。下降局面では、0.6625が当面のサポートとなる。豪ドル/米ドルが楽観的な見通しに転じるには、レンジの上端を超える必要がある。
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--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
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