現時点において、米ドルの強気トレンドは16ヶ月が経過している。DXY(米ドル指数)は2021年5月に90付近でサポートを得ている。第4四半期に向けて、米ドルは2002年以来初めて、113の水準を超えてトレードされている。
このトレンドには依然として終わりが見えないため、米ドルのテクニカル分析は強気を継続している。ただし、この水準の不安定さは欧米の資本主義に対して、長期的にプラスに働くとは考えにくいため、第4四半期のいずれかの時点でレジスタンスラインが見つかることを期待している。また、米ドルの急騰が続くと、欧州や英国が耐えられないシナリオが生じてインフレが進むなど、多くのリスクが考えられる。
米ドルには強気を維持する要因として金利変動があるが、現在ではリスク回避の側面もある。投資家にとって米ドルは、世界で最も利回りが高い通貨であるだけでなく、「最も安全な」通貨の1つでもある。なぜなら、「質への逃避」が最も利回りが高い通貨と相関しているという特殊な状況に置かれているからだ。
したがって、第4四半期において世界経済のために米ドルの価値が弱まることを期待しているが、その要素は全く見られないため、テクニカル分析を強気に維持している。
以下の月足チャートからは、トレンドが強さを増していることがわかる。このチャートで最も目を引く部分は、おそらく2002年から2008年にかけて41%の下落が見られたことだろう。ただし、ユーロが導入されたことが背景にある。米ドルが超国家的な通貨と対峙したのは初めてであり、欧州のプロジェクトが世界的に受け入れられた瞬間である。
この状況はその後、反転しており、2002年にレジスタンスラインとなった120付近に到達する可能性も低いとは言えないだろう。
DXY(米ドル指数)月足チャート(1987年〜現在)
出所:TradingView、作成:ジェームズ・スタンリー
米ドルのチャートは放物線が見られる
この原稿を執筆している際に、米ドルは20年ぶりの高値に跳ね上がっている。原則として、すでに成長しきっているマーケットを追いかけることは避けている。しかし、四半期の予測では、その見通しを立てた後に3ヶ月間が続くことを考慮しなければならないため、多少の予測は必要だろう。
買われ過ぎは価格がこれ以上、上昇できないことを意味するのではなく、むしろ買われ過ぎの状況が生じた理由が引き続き、ポジティブな要因となる可能性がある。米ドルの週足チャートは、現時点では放物線が見られる。そして、2021年第3四半期のテクニカル分析において、DXY(米ドル指数)の90.00付近でサポートラインが見られて以来、単に上昇し続けただけであり、強気のトレンドは新しいものではない。
戻りが起きた場合、110付近がサポートラインになる可能性がある。ただし、直近の動向を考慮すると、レジスタンスライン側は少し注意が必要であり、115.00あるいは117.50の水準は依然として重要である。なぜなら、米ドルを新たな高値に押し上げる投資家は、一時的ではあるが第3四半期に110.00の水準で見られたような、心理的な節目で多少の反発やレンジを予測する可能性があるからだ。
DXY(米ドル指数)週足チャート(2016年6月〜現在)
出所:TradingView、作成:ジェームズ・スタンリー
Q4 2022年第4四半期における米ドルの見通し:強気
第4四半期における米ドルのテクニカル分析は、強気を維持している。トレンドが終わる兆候はまだ現れず、米ドルは現在、利回りが最も高い通貨の一つであり、安全資産と「質への逃避」に向かうシナリオが予測される。よって、上記のチャートに見られるように、トレンドに明確な終わりが見られない状況だ。
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