USD/JPY、米ドル、日本円、日本銀行、FOMC、FRB、金融政策-トーキングポイント



米国FOMC、日本銀行金融政策決定会合を控える中、重要指標である米国消費者物価指数が公表された。概ね事前予想通りの結果となった。一時米ドル安円高が進行したものの長続きせず、その後米ドル高円安基調となり、140円台を回復している。
明日のFOMCでは、FRBは政策金利を据え置き、7月FOMCでの利上げ再開を示唆するかに注目が集まるが、FRBによる利上げ終了が近付いている。FRBの利上げが終了、利下げが近付くと、日米金融政策格差縮小との思惑から、米ドル安円高が進展する可能性がある。しかしながら、過去のFRBの利下げ局面においては、米ドル円の関係は明確ではない。1987年以降、FRBは6回の利下げ局面を経験した。

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成。赤枠は過去の利下げ局面。
利下げ実施後の180営業日における米ドル円のリターンはまちまちである。直近の2019年の利下げ時は、米ドル円はほぼ変わらず、それ以外の5回の利下げ局面において、2回は米ドル安円高が進行した一方、3回は米ドル高円安が進行している。
過去の利下げ局面時の米ドル円のパフォーマンス

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成。利下げ後、180営業日後の米ドル円の変化率。
米ドル高円安が進行した局面では、FRBが利下げを実施することで、景気の先行き改善期待や投資家のリスクセンチメントが改善する結果、安全資産通貨である円が売られ、米ドル高円安が進行した可能性がある。利下げ局面は毎回状況が異なっており、一概には言えないものの、FRBが利下げに転じる=米ドル安円高、とは言えない。
今回の局面では、短期的にはFRBが利上げを継続するか、打ち止めを示唆するかで米ドル高・米ドル安双方に動く可能性がある。しかしながら、中長期的には、利下げ実施時において投資家のリスクセンチメント改善等を通じて米ドル高円安が進展する展開も想定される。
米ドル円のテクニカル分析:パターンブレイクは?
米ドル高円安進展を受け、中立パターンであるシンメトリカルトライアングル(対称三角形)パターンを小幅に上方ブレイクした。米ドル高円安トレンドの開始シグナルの可能性があるものの、明日のFOMCが米ドル円の値動きを左右するだろう。FOMC後に、トライアングルパターンの上下どちらかを明確にブレイクした場合、米ドル高円安もしくは米ドル安円高トレンドが鮮明になる可能性がある。米ドル高円安トレンドが鮮明になった場合、昨年10月から今年1月までの米ドル安円高に基づくフィボナッチリトレースメント61.8%水準142.498円への上昇が視野に入る。一方、米ドル安円高が鮮明になった場合、水平レジスタンスである137.911円をトライしよう。下方ブレイクした場合、フィボナッチリトレースメント38.2%水準136.661円まで円高が進行する可能性がある。
米ドル円日足チャート




資料:Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著