※2023年5月12日11時06分更新
米ドル、米ドル指数、米雇用統計、リスク回避 – トーキングポイント
米失業保険申請件数が増加し、センチメントが悪化
11日のニューヨーク外国為替市場で、米ドルおよび円は主要通貨をアウトパフォームした。リスク回避の動きが強まり、安全資産の需要が高まったためだ。米ドル指数は0.64%上昇し、3月15日以来の上昇率を記録した。一方、センチメントの動向に連動しやすいオーストラリアドルやニュージーランドドルは下落した。
先週の米失業保険申請件数（5月6日終了週）は前週比2万2,000件増の26万4,000件と、2021年10月以来の高水準となった。前の週との比較では9%の増加である。これは、米連邦準備制度理事会（FRB）による積極的な金融政策の引き締め効果により、ひっ迫状態が続いていた米労働市場がようやく落ち着き始めた兆候かもしれない。
S&P 500種株価指数は11日の取引時間終了間際に下落したが、グーグルの親会社であるアルファベット社が好調な業績を示したため、ハイテク株は底堅く推移した。AI（人工知能）やクラウドコンピューティングなど優先課題に投資する計画を示し、投資家に好評だったことも買いにつながったようだ。それでも、景気不安は引き続き金融市場が注目するテーマであり、トレーダーの資金は安全な米国債に集まり、米国債利回りの低下とともに債券価格を押し上げた。
11日の残りの米国時間、そして12日のAPAC（アジア太平洋地域）取引時間に向けて、米ドルや円は米景気減速懸念、ひいては世界経済の成長鈍化懸念を背景に上昇し続けるかもしれない。そのため、日経平均株価やオーストラリアのASX 200株価指数など、APACの株価指数がリスクにさらされる可能性がある。これにより、豪ドル/米ドルやニュージーランドドル/米ドルは軟化するリスクがある。
米ドルのテクニカル分析
日足チャートでは、米ドル指数が重要な101.297－100.82のサポートゾーンを上回る水準で推移し続けている。重要なレジスタンスは、フィボナッチ・エクステンション23.6%の水準102.58と100日単純移動平均線（SMA）である。これらを上方ブレイクすると、指数上昇の可能性が開かれる。一方、下降に転じると、フィボナッチ・エクステンションの中間点である98.90が意識されることになる。
米ドル指数 日足チャート
資料：TradingView
--- DailyFX.com シニアストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
ドゥブロスキー氏に連絡するには、Twitter で @ddubrovskyFX までお願いいたします。
