※2023年5月8日14時24分更新
ドル 相場の週間見通し:中立



ファンダメンタルズ分析
先週のドル相場は小幅ながら下落した。米連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を25ベーシスポイント引き上げたが、同時に利上げ停止の可能性も示唆した。ジェローム・パウエルFRB議長は米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、FOMCは現在のところ、利下げを支持していないことを強調しようとしていたが、市場は議長を信じただろうか。いや、まったく信じてはいない。
FOMC会合後、市場は7月までに利下げが実施される確率を50%程度と見込んだ。それに続く先週金曜に米雇用統計が発表され、4月の非農業部門雇用者数(NFP)は前月比25万3,000人増加と、予想(同18万5,000人増)をはるかに上回った。また、平均時給は前年同月比4.4%増と小幅ながら前月の伸び率を上回り、失業率は3.4%と0.1ポイント改善した。
このような好結果にもかかわらず、オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場では、7月までの利下げ予想は部分的に後退するにとどまった。現在、この確率は約40.5%まで低下している。
このため、ドルは今後、強気な見通しとなる可能性がある。ニューヨーク地区連銀のジョン・ウィリアムズ総裁、クリストファー・ウォーラーFRB理事、セントルイス地区連銀のジェームズ・ブラード総裁らが講演等を予定しており、FRB当局者の発言に注目が集まっている。FRB当局者が目先の緩和期待を重要視しない姿勢を続けるのであれば、ドルにはプラス材料となるかもしれない。
市場は、10日発表の米消費者物価指数(CPI)にも注目している。4月の米CPIは前年同月比5.0%上昇と、3月比で横ばいと見られている。一方、コア指数は5.5%上昇と、前月(5.6%上昇)からにわずかに低下すると予想されている。特に、リスク回避の動きで米国株が下落し、安全な逃避先である資産への需要が高まった場合、物価上昇の兆候がさらに強まり、ドルを後押しする可能性がある。



ドル相場のテクニカル分析
ドル指数は、重要なサポートレンジを上回る水準を維持している。サポートレンジは100.82-101.29で、このエリアは2022年5月からの安値圏で形成されている。このレンジは割り込まれることなく維持され、サポートが強化され続けているため、ブレイクアウトまたは上昇に転じた場合の重要性が高まっている。100日単純移動平均線は今後1週間、重要なレジスタンスとして機能する可能性がある。一方、上方ブレイクした場合は、3月の高値105.88が意識されることになるだろう。
トレードに役立つメール配信サービス
DailyFXからタイムリーで国内外のマーケット情報を受け取ることができます。
ドル指数 日足チャート
資料:TradingView
--- DailyFX.com シニアストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
ドゥブロスキー氏に連絡するには、Twitter で @ddubrovskyFX までお願いいたします。