※2023年3月27日16時24分更新
円相場の週間見通し：相場を動かす主因は引き続きドル安
米連邦準備制度理事会（FRB）が22日に金融政策を決定した後、幅広い通貨に対してドルが下落する中、先週、ドル安の恩恵を多く受けたのは円相場だった。日本関連の材料が控えている中でも、ドルの動向が今後数日間、引き続きドル/円を動かす主因となりそうだ。これは、たとえドル高の一服がこれまでほど顕著でないとしても、相対的に円高が進む可能性が高いことを意味しているかもしれない。
日足チャートを見れば一目瞭然だが、2022年10月以降、米国の金融政策見通しに反応し、ドル/円は継続的に下落している。
資料：TradingView
FRBの「ハト派的利上げ」がドルを押し下げる
FRBは3月22日に再び利上げを実施したが、フォワードガイダンスの文言は明確に修正されたため、市場は、世界最大の経済大国である米国の政策金利はこれまで想定されていたよりも上昇しないとの予想に大幅に傾いている。ターミナルレート（利上げの最終到達点）は数週間前に市場が予想していた5.7％を下回る水準にとどまるとの見方が強まっている。
FRBは現在、フェデラルファンド（FF）の誘導目標レンジを4.75－5％としている。市場は政策金利がさらに上昇すると確信しているが、「それほど高くはならない」というのが今の大方の予想のようだ。
このような状況から、ドルは全面的に軟化している。これは合理的な市場の反応かもしれないが、FRBは何よりもインフレ対策が使命であり、物価が高水準にとどまっている間は、市場の思惑とは関係なく、さらなる利上げの可能性があることを忘れてはならない。FRB当局者の誰もが2023年に金利が下がるとは思っていない。
混とんとする日本のインフレ
公式発表によると、先月、日本の総合インフレ率の伸び率はやや緩和した。2月の消費者物価指数（CPI）は前年同月比3.3%上昇し、1月の上昇率を1%ポイント下回った。しかし、変動の激しい食料品やエネルギーを除いた「コア」指数は、政策決定者にとってあまり安心できる結果ではなかった。インフレ率は依然として高く、ある指標では40年ぶりの高水準に達している。
これは、4月8日に長年務めた黒田東彦日銀総裁の後任として就任する植田和男新総裁が直面する問題となろう。日本政府は、日銀の長年にわたる大規模な金融緩和策に懸念を抱いていると伝えられている。新総裁は金融政策を微調整するのみと見られているが、これまで長年、大規模金融緩和策が堅持されていただけに、それさえも円を支える可能性がある。
しかし、これは中期的な見通しの話である。目先では、今週は、主要な経済指標をきっかけにトレード機会がもたらされる可能性がある。最初の候補は、30日21時30分（日本時間）に発表される2022年10－12月期の米国内総生産（GDP）確報値である。前回発表された速報値は3.2%の成長だった。
31日は、日本の失業率、小売売上高、鉱工業生産（各2月分）が発表される。
中国の3月製造業購買担当者景気指数は、世界第2位の経済大国である中国が、徹底した検査と厳しい行動制限を伴ったゼロコロナ政策からどのように脱却しつつあるかを映し出すだろう。これは、日本の巨大な輸出セクターにとって大きな懸念事項である。
とはいえ、金融政策の格差は依然として大きいため、ドル/円への影響は短期的なものにとどまると思われる。
--- DailyFX.com デイビッド・コトル著
