英ポンド/ドル - 価格、チャート、分析
- 英中銀の政策金利を決める投票は三者三様
- 英製造業PMIが大幅低下
英ポンド/ドル見通し
イングランド銀行(BOE、中央銀行)による15日の金融政策決定会合では、金融政策委員会(MPC)メンバー9名のうち6名が50ベーシスポイント(bp)の利上げ、2名が据え置き、最後の1名が75bpの追加利上げに投票し、三者三様の投票が行われていたことが明らかになった。MPCは、英国は「長期の」景気後退に陥るとの懸念を示した一方、インフレ率は当面、非常に高い水準を維持し、2023年半ばから急激に低下すると指摘した。全体として、英国経済の短期的な見通しは依然としてネガティブであり、このことは英ポンドにも表れ始めている。
S&Pグローバル/CIPSが16 日発表した12 月の英総合購買担当者景気指数(PMI)も、製造業が引き続き低迷している一方、サービス業は回復しており、英国経済は強弱まちまちとなっている。S&Pグローバルのチーフ・ビジネスエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏によれば、「9月までの3カ月間に0.2%低下し、第4四半期の国内総生産(GDP)が0.3%縮小することを示唆したが、12月の数値は、英国が景気後退に陥る可能性をさらに高めた」という。同氏はさらに、「特に12月のさらなる利上げを考慮すると、景気後退は続くだけでなく、加速する可能性もあることを考えると、人員削減などで企業が厳しい経済環境に備えても驚きはない」と付け加えた。
二桁のインフレ率に見舞われた経済活動の停滞に加え、一連のストライキが英国経済に追い打ちをかけている。英国では12月に看護師、鉄道職員、郵便局職員がストライキに踏み切り、経済的なダメージを与えただけでなく、1978年から1979年の冬にかけて英国で大規模なストライキがあった「不満の冬」という言葉が真実味を帯び始め、社会不安を呼び起こしている。
このような悲観的な国内情勢を鑑みれば、英ポンドが売られるのはある意味、当然である。英ポンド/ドルは14日に数週間ぶりの高値となる1.2447を付けた後、BOEの政策金利引き上げ発表で下落に転じた。価格は 1.2150 付近で取引されており、今後数週間のうちにさらに下落する可能性がある。
すべての中央銀行における金融政策決定の日程は、DailyFX中央銀行カレンダーをご覧ください。
英ポンド/ドル 日足チャート - 2022年12月16日
資料:TradingView
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 3% | -7% | -3% |
週次 | 4% | -10% | -5% |
個人トレーダーは引き続きネットショート
個人トレーダーの持ち高状況を示すIGクライアントセンチメント(IGCS)によると、英ポンド/ドルを取引するトレーダーの50.82%がネットロング(英ポンドを買い持ち)で、トレーダーのロングとショートの比率は1.03対1となっている。ネットロングのトレーダー数は、昨日より35.33%、先週より14.62%それぞれ増加した一方、ネットショートのトレーダー数は昨日より21.71%、先週より19.52%それぞれ減少している。
IGCSは通常、群集心理とは逆の見方をしており、トレーダーがネットロングであるということは、英ポンド/ドルの下落が継続する可能性を示唆している。トレーダーは昨日や先週よりもさらにネットロングに傾いており、現在のセンチメントと最近の持ち高変動を鑑みると、英ポンド/ドルの逆張り取引バイアスはさらに弱気に傾いていると考えられる。
英ポンドについて、あなたは強気ですか、それとも弱気ですか?あなたのご意見をぜひ著者までお寄せください(Twitter @nickcawley1)。