※2023年5月1日9時35分更新。
EUR、JPY、USD、米連邦準備制度理事会、欧州中央銀行、金融政策決定会合-トーキングポイント
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米国(FRB)、ユーロ圏(ECB)決定会合に注目
ユーロ円はリーマンショック(2008年9月)以来の150円台に上昇した。4月28日金曜日に植田日銀総裁のもとでの初の金融政策決定会合が現状維持となり、金融緩和的(ハト派的)と受け止められ、円安が進行したことが背景にある。
また、今週は欧州中央銀行(ECB)理事会(金融政策決定会合)が開催され、利上げ及び今後の利上げ継続が示されると予想されていることもユーロ高要因となっている。
2日にユーロ圏の4月インフレ率が公表となる。先だって28日ドイツ、フランス、スペインのインフレ率が公表され、フランスではインフレの加速が見られたものの、ドイツではインフレ鈍化が確認された。スペインではインフレが加速したものの、事前の市場予想は下回る結果である。同じくドイツ雇用統計やユーロ圏、ドイツ、イタリアのGDP成長率が公表された。ユーロ圏、ドイツでは成長の減速が確認され、ドイツはマイナス成長となった。また、ドイツ失業者数も市場予想以上に増加、雇用市場の悪化を示した。



資料:Trading Economics
ECBは主要中銀の中で日本を除き最も利上げを開始したのが遅く、今までの利上げの影響が顕在化するのは他国と比べて遅行することが想定される。28日金曜日のユーロ圏各国のインフレ、GDP等の結果は、徐々に今までのECBの利上げの効果が顕在化していることを示唆しており、今後一段と顕在化してくる可能性がある。金融市場では5月4日のECB会合を含めて3回の年内利上げが織り込まれている。一方、米国(FRB)では今回利上げ実施後、秋ごろから利下げを実施することが予想されており対称的である。しかしながら、ECBの利上げの影響が今後顕在化してくることが予想される中、ECBは4日の金融政策決定会合で、金融市場の予想に反して近い将来の利上げ停止を示唆する可能性があり、欧州金利低下、ユーロ安要因となる可能性があるが、今後のユーロ円、ユーロドルの見通しは?
ユーロ円(EUR/JPY):ユーロ高円安
日足チャートでは、ダブルボトムの形状からの目標値であった149円20円を上抜けた。しかしながら、日足チャートではMACDやRSIでユーロ高トレンドが衰えていることを示唆する弱気のダイバージェンスが示現していない。また、9、20、50、200日指数移動平均線
が上向き、かつ上から並ぶ強気(ユーロ高円安)のパーフェクトオーダーが示現しており、一段のユーロ高円安の進展が見込まれる。リーマンショック時のユーロ円の水準かつ、リーマンショック前に強固なサポートやレジスタンスとなってきた153.614円が視野に入る。
ユーロ円(EUR/JPY)日足チャート

資料:Trading Viewより作成
ユーロ/米ドル:ユーロ高過熱感があり中立
米国(FRB)はECBに先立って5月3日に金融政策の結果が公表されるが、最近公表の米国PCE物価指数や雇用コスト指数、シカゴPMIは、米国景気や労働市場が底堅く推移していることを示唆している。FRBは今会合で利上げ後は利上げ停止をする可能性があるものの、金融市場で予想されている年内の利下げには否定的なスタンスを示し、米国金利上昇、米ドル高要因となる可能性がある。また、ユーロドルの週足チャートを確認すると、MACD(移動平均収束拡散手法)ヒストグラムでユーロ高米ドル安トレンドの勢いが衰えていることを示唆している弱気のダイバージェンスが示現している。RSIは67.7とユーロ高米ドル安の過熱感を示唆している。
ユーロドル週足チャート

資料:Trading View
一方、日足チャートを確認すると、9、20、50、200日移動平均線が上向き、かつ上から順に並ぶ強気(ユーロ高米ドル安)を示唆する「パーフェクトオーダー」が成立している。しかしながら、週足チャートはユーロ高の過熱感を示唆していること、米国(FRB)、ユーロ圏(ECB)の金融政策決定会合が米国金利上昇・ユーロ圏金利低下(米ドル高ユーロ安要因)となる可能性があることから、ユーロドルを中立の見通しとする。ユーロ安米ドル高が進展する場合は水平サポートラインである1.08366でサポートされるか注目したい。一方、FRBが年内利下げを否定しなかった場合やECBが今後の一段の金融引き締めを強く示唆した場合、ユーロ高米ドル安が一段と進み、2021年1月から2022年9月までの下落に基づくフィボナッチリトレースメント61.8%水準の1.12673が視野に入る。
ユーロドル日足チャート

資料:Trading View



-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著