※2023年3月8日11時07分更新
NYダウ、S&P 500、パウエル議長証言 - APAC市場寄り付き



APAC市場まとめ – 米国株安受け、ボラティリティの高まりに警戒
7日の米国株式市場で、ダウ工業株30種平均は前日比1.72%安、S&P 500は同1.53%安で取引を終了した。株価下落のきっかけは、市場が注目していたジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の上院銀行委員会での証言だった。
7日に上院銀行委員会でパウエル議長が行った証言の重要なポイントは、FRBは必要であれば、再び利上げペースを加速させる用意があると言及したことだ。もちろん、これは今後発表される経済指標の影響を受けることになる。さらに、パウエル議長は、FRBは政策金利のピークが予想されていたよりも高い水準になることを視野に入れているとも指摘した。
今回の証言は、インフレの高止まりリスクが高まっていることを最近の米経済指標が示していることが背景にある。最新の米消費者物価指数(CPI)と米個人消費支出(PCE)(PCEはFRBが重視するインフレ指標)は、ディスインフレのペースが鈍化している兆候を示した。
市場では、その日のうちに、今月のFRBによる利上げの幅が25ベーシスポイント(bp)から50bpに拡大するとの予想が増え始めた。短期債を中心に米国債利回りは上昇し、株式の魅力は失われ、典型的なリスク回避志向が強まった。このため、8日のAPAC(アジア太平洋地域)市場では脆弱な地合いが引き継がれる可能性が高い。
NYダウのテクニカル分析
ダウ平均は、50日単純移動平均線(SMA)に上値を抑えられ、下落に転じた。この下落前には、シンメトリカル・トライアングルのチャートパターンを下方ブレイクしていた。フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準32,709が当面のサポートとして意識されるだろう。



日足チャート

資料:TradingView
S&P 500のテクニカル分析
一方、S&P 500種株価指数は、弱気なチャートパターンである上昇ウェッジの下限ラインを突破できずにいる。このため、指数はフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準3,938.61が迫っている。この水準の下方ブレイクが確認されれば、テクニカル分析見通しはますます弱気に傾く可能性がある。
日足チャート

資料:TradingView
--- DailyFX.com シニアストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
ドゥブロスキー氏に連絡するには、Twitter で @ddubrovskyFX までお願いいたします。