NYダウ、独DAX 40(DAX 30)、英FTSE 100、利上げ – トーキングポイント
- 相場見通し:NYダウに弱気で33,150割れ、独DAXにも弱気で14,150割れを予想
- FOMCは来週14日(日本時間15日午前4時)に50ベーシスポイントの利上げ、英中銀と欧州中銀も翌日に同様の決定をすると予想されている
- 市場では期待感が高まっているように見えるが、テクニカル面から見ると、NYダウ、DAX、FTSEには警戒すべきポイントがあるようだ
今週は注目すべき経済イベントリスクが比較的少なく、相場への影響は「季節性」要因くらいで、これまで相場を動かしてきた市場のテーマへの関心は薄らいでいる。とはいえ、単に満足しているようだけのように見える市場の期待感は、より強力な影響力を持つ可能性があると筆者は考えている。来週は、今年最後の大きなイベントリスクが控えており、その筆頭は世界3大中央銀行による金融政策の決定である。米連邦公開市場委員会(FOMC)は14日(日本時間15日午前4時)、英国の中央銀行であるイングランド銀行は15日(日本時間15日午後9時)、欧州中央銀行(ECB)は15日(日本時間15日午後10時15分)に金融政策をそれぞれ発表する。
エコノミストのコンセンサスでは、3行とも政策金利をそれぞれ50ベーシスポイント(bp)引き上げると予想されている。3つのベンチマーク株価指数(ダウ工業株30種平均、独DAX 40種株価指数、英FTSE 100種株価指数)はいずれも2022年の安値よりも史上最高値に近い位置にあるが、金融政策の決定は市場の現在価格に大きく反映されることになるだろう。市場の反応を決定付ける要因は、年内の流動性に対するマーケットのしきい値、3行による利上げの最終着地点の予測、3行が世界金融システム安定に向けた金融政策の概観を構築する可能性、である。
この中央銀行3行のうち、米連邦準備制度理事会(FRB)による政策決定は、自国の金融システムの枠を超え、金融政策と市場パフォーマンスにおけるグローバル標準を提示するという意味合いにおいて、最も重みを持つことは言うまでもなく、発表の順番も一番目である。注目すべきは、ダウ平均がS&P 500種指数やナスダック100指数よりも相対的に大きく上昇している点だ。ダウ平均はブルーチップ(優良株)で構成されているため、市場が安全志向にあることを示唆している。このような傾向は、市場のリスク選好度合いが低いことの表れでもあり、株式市場にとってはあまり良い兆候ではない。もっと正確に言えば、常にリスク資産を持つべきだという自明の理に従いつつも、市場の方向性にはあまり自信を持てない、という状態のように見える。
市場心理は欲よりも恐怖の方が強いため、流動性が低下し、下値リスクは大きくなっている。さらに、ダウ平均はここ数カ月、著しく上昇し、「強気相場」(大幅安から20%上昇した水準)入りした直後に、三尊天井(ヘッドアンドショルダー)と呼ばれるチャートパターンを形成した。現在、20日間のヒストリカルレンジで見たスポット比率は極めて低く、ブレイクしやすい状況にあると思われる。
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -13% | 1% | -2% |
週次 | 8% | -7% | -4% |
20日SMAと20日ヒストリカルレンジを用いたNYダウのチャート(日足)
資料:Tradingview
一方、欧州中銀は金融政策のスペクトラムにおいて考慮すべきことが多くあるようだ。国際通貨基金(IMF)などの超国家的機関が評価する経済見通しは、ユーロ圏が他国と比べて最も困難な状況にあると示しているが、欧州中銀からのメッセージにはばらつきが目立つ。フォワードガイダンスは、最終的な経済活動の結果が経済成長や資本市場に不利になる場合でも、市場の期待に沿うようなものにすることができる。市場では50bpの利上げ予想がかなり確立されているようだが、ユーロ圏経済の現在の基準金利は米国の基準金利より大幅に低いため、欧州中銀の意図やFRBとの差を縮める能力(経済協力開発機構=OECDが最近示唆したもの)についてはかなり議論の余地がありそうだ。欧州中銀が景気後退やエネルギー危機は予測されているほど深刻ではないとの考えを示し、インフレ抑制策を強化した場合、金利と資本市場の間に通常、存在する負の相関関係が現れる可能性がある。ここでも、ボラティリティの最大の「リスク」は、(上方へのブレイクではなく)下方への急激な動きであり、過去1カ月間にもみ合ったレンジを下回る水準からそれほど離れていないところに2022年のレンジの中間点がある。
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -29% | -6% | -9% |
週次 | -46% | -2% | -11% |
20日SMA、5-60日ATR比率を用いたDAX 40のチャート(日足)
資料:Tradingview
英FTSE 100種株価指数は、ここ何十年もの間、「弱気相場」(システム上の最高値または史上最高値から20%下落)入りしたことがなく、下落後の反発により、2022年のレンジの最高水準近くで推移していることを考えると、相対的なパフォーマンスは注目に値する。政情(補正予算を巡る失態)や極めて高いインフレ圧力、先進国の多くを苦しめている一般的な景気後退を考慮すると、これは並み外れたパフォーマンスと言える。この指数、そして一般的な投資家心理は、基本的に回復力がより優れているように思われるが、だからといって経済や健全な財政状態の盛衰から全く切り離されているわけではない。7,700を突破し、確実に上抜けすることは、世界の投資環境の核心的な実態に反するような強い投資性向を示唆するものである。テクニカルな観点からは、現在、非常に大きなレンジで取引されており、最近、高値圏で上値が切り上がらなくなり始めた。
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -15% | 0% | -5% |
週次 | 23% | -1% | 5% |
20日SMAと20日変化率を用いた英FTSE 100のチャート(日足)
資料:Tradingview
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