原油、WTI、景気後退懸念、下降ウェッジ - トーキングポイント
- WTI原油先物は今週、10%近く下落しており、下落率は3月以来最大
- このようなパフォーマンスは滅多にないが、景気後退の影響で説明できる
- 原油先物相場は、下降ウェッジのチャートパターン内にとどまって取引されている
今週のウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油先物は、残念なパフォーマンスとなりそうだ。今週はこれまでのところ、約9.5%下落している。7日の米国市場では下げ幅を拡大し、2021年末以来の安値を付け、今年の最安値を更新して取引を終了した。今週を10%の下落で終えれば、3月以来最大の下落率を記録する週となる。
2020年以降の週単位での平均パフォーマンスを見ると、このような値動きがどれくらいの頻度で起こるかを確率密度関数で確認することができる。下図では、今週のZスコアは約マイナス1.3であり、標準偏差の数値(平均からどれだけ離れているか)を表している。つまり、1週間に原油価格が9.5%あるいはそれ以上下落する確率は約10%である。
過去の実績が将来の結果を示唆するものではないことに留意する必要があるが、原油価格の下落は決して偶然ではない。恐らく、米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派的な政策への期待と景気後退懸念の高まりが、エネルギー価格の重しになっている。
市場で注目されている米10年債と2年債の利回り格差は逆イールド状態が続いている。この状態はしばしば、景気後退の先行指標と見られている。7日には、中国政府がゼロコロナ政策の規制緩和を発表した。これは原油先物市場にとっては好材料となりそうだ。とはいえ、規制緩和の動きはほぼ織り込み済みだったようで、市場はほとんど反応しなかった。
今週の原油価格はどうなる?
原油価格 テクニカル分析 - 日足チャート
WTI原油先物は11月に下降トレンドが再開して以来、下げ幅を拡大し続けている。価格は、下降ウェッジのチャートパターン内で取引されているようだ。このパターンのレジスタンスラインを上抜けると、11月の高値に向けて短期的に反転する可能性がある。しかし、100日単純移動平均線には注意が必要である。この移動平均線がレジスタンスとなり、再び下落に意識が向く可能性があるからだ。フィボナッチ・エクステンション100%の水準72.249を割り込むと、2021年5月の安値圏61.69-65.60が意識されることになる。
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資料:TradingView
--- DailyFX.com シニアストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
ドゥブロスキー氏に連絡するには、Twitter で @ddubrovskyFX までお願いいたします。