原油、WTI、ドル、IMF、中国、FOMC議事要旨、ドル/円、原油/円 - トーキングポイント
- 原油価格は続落後のきょう、いくつかのサポートを見つけた
- IMF高官による世界経済に対する警告と中国景気の後退懸念がWTIの重しに
- FOMC議事要旨で景気減速は避けられないとの見方が強まった。 WTIは新安値を更新するか?
米国時間4日は、ドルが主要通貨など、原油とは別の資産に対し大幅安になったにもかかわらず、ドル建ての原油先物相場は大幅続落した。このような状況下、ドル/円だけは例外で、一時は132.71の高値水準まで上昇した。
ウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油 先物は3日に81.50 ドルの高値まで上昇する場面もあったが、その後下げに転じ、翌4日には 10.8%急落、 72.73 ドルの安値を付けた。きょうはこれまでのところ、73ドルを上回って安定的に推移している。
世界経済がこれまで考えられていたほど楽観的ではないとの見方から、原油相場の先行き見通しが悪化している。
2023年の取引開始前の1日、国際通貨基金(IMF)のクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事は、米国、中国、欧州連合(EU)の景気は同時に減速していると指摘し、世界の3割が今年、リセッション状態に陥ると警告した。
世界第2位の経済大国である中国の景気回復に対する懸念が高まる中、今週初めに中国が発表した12月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は好不況の分かれ目である50を5カ月連続で下回り、中国での生産・需要の低迷が浮き彫りとなった。
そして米国時間4日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、インフレ抑制に向けた米連邦準備制度理事会(FRB)の断固としたタカ派的姿勢が改めて強調された。
議事要旨では、金利上昇によって景気は減速しているが、インフレは高止まりしている場合のFRBの舵取りに対する世間の認識に関して、FRBがどの程度、フラストレーションを感じているかが明らかになった。
市場は、このような場合はFRBが金融緩和に動くと考えているようだが、これに対しFRBは、金融緩和策を正当化する根拠はなく、物価安定を回復するための努力を無駄にしかねないと述べている。
さらに、米ミネアポリス連銀のニール・カシュカリ総裁は4日、今回の引き締めサイクルで金利が落ち着く水準についての見解を自身の小論文で示した。
カシュカリ総裁はFRBが政策金利を5.4%で一旦停止すると見ている。市場は、再び金融緩和となるまでのピークをかなり低く見積もっている。同総裁は、インフレが抑制されなければ、金利は5.4%を超えて上昇し続けるかもしれないと考えている。
WTI原油先物とドル/円の値動きから、円建ての原油先物は下落していることがうかがえる。両市場の下げが続けば、世界第3位の経済大国である日本のエネルギー価格が低下し、国内での生産活動が活発化する可能性がある。
WTI原油、ドル/円、WTI原油/円の推移
資料:TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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