※2023年3月20日16時24分更新
豪ドル見通し:弱気
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先週のオーストリアドルは重力に逆らうかのように、通常であれば下落圧力を受けるような環境下で上昇した。リスクセンチメントが悪化し、オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は再度の利上げを見送る可能性がある。
一方で、雇用統計が好調な豪雇用市場を示すなど、豪経済は堅調に推移している。そんな状況下、逆に世界のマクロ経済情勢は急速に悪化し、多くの銀行が救済措置を求めている。
金利市場では、RBAの次なる一手として、6月の理事会での利下げが織り込まれている。今月初め、市場はターミナルレート(利下げが織り込まれる前の利上げの最終到達点)を4.35%と想定していたが、現在は3.60%との見方が優勢だ。
先週16日、オーストラリア統計局(ABS)が発表した雇用統計によると、2月の失業率は3.5%と、予想(3.6%)、前月(3.7%)よりも改善した。雇用者数は前月比6万4,600人増加し、予想(同5万人増)、前月(1万900人減)をともに上回った。



米国および欧州において銀行の信用不安が広がり、豪労働市場がひっ迫していることは見過ごされているようだ。
米銀行持ち株会社SVBフィナンシャル、米地銀シグネチャー・バンク、米商業銀行及び信託会社のファースト・リパブリック・バンク、スイスの金融大手クレディ・スイスに対する様々な救済措置は、今のところ市場の不安を和らげるのに役立っているようだ。米連邦預金保険公社(FDIC)は、経営危機にある銀行の預金者に対する預金保護に動いた際、他にも同様の状況にある銀行があると述べた。
また、英フィナンシャル・タイムズ紙は、スイスの金融機関最大手UBSが同2位のクレディ・スイスの全てまたは一部の買収を検討していると報じている。
市場はいったん落ち着いてはいるが、銀行破綻に端を発する金融不安が払しょくされるまでは、波乱含みの展開となる可能性がある。
中央銀行が積極的な金融引き締めに動くことによって、世界の金融インフラに他のほころびが見つかることになりかねない。金利上昇負担がまた別の問題を引き起こすかもしれないという懸念はくすぶっており、さらなる問題が発生した場合、豪ドル/米ドルのようなリスク資産は厳しい目で見直されるだろう。
マクロ経済的な要素が豪ドル/米ドルを左右する可能性がある一方で、債券スプレッドなどのファンダメンタルズ要因が影響を及ぼす状況も戻ってくるかもしれない。
豪ドル/米ドル、豪米10年物国債利回り格差
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
マッカーシー氏に連絡するには、Twitter で @DanMcCathyFX までお願いいたします。