※2023年5月26日8時50分更新。
USD/JPY、インフレ、PCE、日銀、FRB、債務上限、テクニカル-トーキングポイント



米ドル円は140円台に突入した。東京都区部CPIはインフレ鈍化を示した。本日は米国でインフレ指標が発表される。結果次第では、日本銀行とFRBの金融政策格差が一段と乖離し、米ドル高円安の一段の進行が見込まれる。詳しく見てみたい。
全国インフレの前哨戦・・・
全国の消費者物価の動向に対して先行性のある5月東京都区部CPIが公表され、前年比で3.2%と前月の3.5%よりインフレ鈍化を示した。前月に発表された4月分は加速したものの、5月分はインフレ鈍化を示し、日本銀行による当面の金融緩和維持を示唆する内容であった。植田日本銀行総裁も、金融政策の稚拙な転換により「ようやく見えてきた2%達成の芽をつんでしまうコストは大きい」と金融緩和継続姿勢を示している。
東京都区部CPIの結果

米国PCE物価指数は一段の金融引き締めを必要とするか?
26日日本時間21時30分に米国PCE物価指数が公表される。FRBの目標である重要インフレ指標である。インフレ鈍化が示されなかった場合、インフレ抑制のためにFRBが一段の金融引き締めが必要との観測が高まろう。概ね金融市場の予想通りの場合は既に市場は政策金利据え置きを予想しているため、為替への影響は限定的と見込む。



米ドル円と日米金利差

資料:Trading View
米ドル円、140円の次は?
米ドル高円安の心理的節目である140円を突破した。日足チャートで、RSIは70を超えている。やや過熱感が出ているものの、21日移動平均線からの乖離率は約2.4%に留まっており、RSIやMACD(移動平均収束拡散手法)では弱気のダイバージェンスは示現しておらず、一段の上値余地がある。東京都区部のCPIは日本銀行による当面の金融緩和を維持する結果であった。本日の米国PCE物価指数がFRBの一段の金融引き締めを示唆する内容となった場合、日米の金融政策格差が一段と明確になり、米ドル高円安が進行することを見込む。昨年10月から今年1月までの米ドル安円高に基づくフィボナッチリトレースメント61.8%水準142.498円への上昇が視野に入る。リスクとして米国債務上限問題が挙げられる。「Xデー」とされる6月1日が迫る中、米国の国債支払い不履行(デフォルト)に対する懸念が高まった際は、リスク回避の動きが強まり、安全資産通貨である円が強含む可能性がある。そのような場合、水平レジスタンスである137.911円へ円高が進行する可能性がある。
米ドル円日足チャート




資料:Trading View
-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著