S&P 500・ナスダックの見通し：銀行経営不安の中、回復に力強さ

※2023年3月29日17時44 分更新

S&P 500・ナスダック100の見通し

• 銀行問題が懸念される中、S&P 500種指数の上昇トレンドは維持されている
• ナスダック100はさらに堅調に推移しており、2023年の高値に迫っている
• 両指数の行方は？

推薦者： Manish Jaradi

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S&P 500種株価指数とナスダック100指数は、銀行セクターの混乱にもかかわらず、底堅く推移しており、回復力の強さがうかがえる。しかし、両指数が直近のレンジから上昇するには、買いを促す強い原動力が必要だ。

銀行問題が懸念されているにもかかわらず、主要な米株価指数は重要なサポートを割り込んでいない。地方銀行ファースト・シチズンズ銀行がSVBの大部分を買収し、金融大手UBSはクレディ・スイスを買収した。さらには規制当局が流動性の供給に前向きな姿勢を示し、世界金融危機以来最大規模となる銀行危機は回避できるだろうとの安心感が投資家の間に広がった。

加えてここ数日、他の地域や世界の金融セクターにこの銀行問題が波及したという新たな「悪い」ニュースはないため、それは「良い」ニュースと受け止められている。とはいえ、米連邦準備制度理事会（FRB）の利上げを含めた信用状況が全体的に引き締まっているため、米景気が後退する確率は高まっている。銀行に対する規制が強化されるとの見方もあり、銀行セクターは短期的に逆風にさらされる状況が続く可能性がある。

ナスダック100 日足チャート

資料：TradingView

テクニカルチャートでは、S&P 500種指数とナスダック100は、2月に初めて筆者が指摘したように、ともに上昇トレンドを維持している。重要なのは、ここ数週間、両指数が主要なサポートを割り込んでいないことである。目先では、31日発表の2月の米個人消費支出（PCE）コア価格指数、FRBが同日発表する米銀の預金状況、数週間後に始まる米国企業の四半期決算などが相場を動かす要因となりそうだ。

S&P 500 日足チャート

資料：TradingView

S&P 500： 上昇トレンドを維持

S&P 500種指数は、かなり強力なサポートである昨年12月の安値3,765を上回る水準で推移しており、2022年10月からの高値圏での高値・安値の切り上げが継続されていることが再確認された。以前の記事でも指摘したように、3,765を下方ブレイクすると、形成されつつある新しい上昇トレンドは消失したことが確認される。

S&P 500 週足チャート

資料：TradingView

相対的に見ると、S&P 500種指数はナスダック100と比較してわずかに弱含んでいるように見える。日足チャートでS&P 500種指数は89日移動平均線と一目均衡表の雲を下回っており、上昇トレンドを維持するためのハードルが上がっていることが示唆されている。S&P500種指数が目先のこうしたテクニカルバリアをクリアするためには、上昇を促す強力な買い材料が必要である。上昇トレンドを復活させるためには、2月の高値4,195を上回る必要がある。

ナスダック100 週足チャート

資料：TradingView

ナスダック100：レジスタンス近辺でもみ合い

ナスダック100指数は、日足チャート上の89日移動平均線、200日移動平均線、一目均衡表の雲の下端という、かなり強い収束サポートエリアから反発している。この過程で指数は（2022年末の安値に関連した）安値圏で安値を切り上げた。しかし、上昇トレンドの維持を確認するためには、指数は2月の高値12,880を上回る必要がある。成功した場合、昨年8月の高値13,720を再び試す展開となろう。

--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著

ジャラディ氏に連絡するには、Twitterで @JaradiManish までお願いいたします。