※2023年5月11日14時45分更新。
原油、IG顧客センチメント―トーキングポイント
- メインシナリオ:80ドルへの上昇を見込む
- リスクシナリオ:67ドルまで下落
- センチメント指標からは原油価格上昇の可能性
- テクニカル指標は上昇トレンドに転じつつあることを示唆



IG顧客センチメントは原油価格上昇を示唆
IGグループのプラットフォーム上で実際に行われた取引データに基づいたセンチメント指標であるIG顧客センチメント(IGCS)によると、原油を取引する個人トレーダーのショート(原油を売り持ち)の割合が増えつつある。ショートの個人トレーダーの割合が増加していることは、原油価格に弱気な個人トレーダーが増加していることを示唆しているが、IGCSは逆張りの指標として機能する傾向がある。逆張り指標の観点では、強気の個人トレーダーが弱気に一段と転換、弱気の個人トレーダーが更に増えることで、原油価格が上昇する可能性がありそうだ。現状のIG顧客センチメントの動向から、原油価格の一段の上昇が見込まれる。
IG顧客センチメント:米国原油

資料:IG顧客センチメントより抜粋



原油は割安?
クラックスプレッドは高い水準を維持しており、原油価格が割安であることを示唆している。クラックスプレッドは、石油製品であるガソリン価格とWTI原油先物価格の差を示す。クラックスプレッドが高いことは、原油からガソリンを生成することで大きな利益が見込めることを示し、原油に対する需要が今後増加、原油価格が上昇する可能性を示唆している。IG顧客センチメントやクラックスプレッドは原油価格の上昇を示唆しているが、テクニカル面も踏まえた今後の見通しは?上昇は見込めるのか?
原油価格とクラックスプレッド

資料:Trading View。クラックスプレッドはRBOBクラックスプレッド。
原油価格見通し:80ドルへの上昇を見込む
日足チャートを確認すると、短期の9日指数移動平均線が上向きに転じており、上昇トレンドに転じつつある。RSIは原油価格が一時売られ過ぎの水準に達したことを示唆している。MACDラインは上向きかつ、シグナルラインを上抜ける寸前であり、上昇トレンドに転じつつあり、水平レジスタンスである80ドルへの上昇を見込む。一方、金融不安や米国債務上限問題に対する懸念が一段と高まった際には、リスク資産である原油価格が下落する可能性もあり、米国政府のSPR補充のための購入の可能性が高まり、3月安値近辺である67ドルまで下落する可能性がある。
原油価格日足チャート

資料:Trading View
-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著