※2023年5月12日16時59分更新
NZドル/米ドル、豪ドル/NZドル、英ポンド/NZドルの見通し
- NZドルはここ数週間で急反発した
- 5月24日の理事会でのNZ中銀による利上げ実施を予想する見方が強まっている
- NZドル/米ドル、豪ドル/NZドル、英ポンド/NZドルが向かう方向とは?
- NZドルの潜在的リスクとは?



ニュージーランドドルはここ数週間、G10(10カ国財務大臣・中央銀行総裁会議)圏の他通貨に対して急反発している。最後の壁であるレジスタンスをブレイクすれば、米ドルに対するニュージーランドドルの見通しは大きく改善する。
ニュージーランドドルは4月下旬から急ピッチで上昇している。このような値動きの可能性について筆者は過去の記事でも指摘していた。
ニュージーランド準備銀行(RBNZ、中央銀行)が4月、予想外に政策金利を50ベーシスポイント引き上げ、5月24日の理事会で追加利上げが実施されるとの期待が高まったことがニュージーランドドルを後押ししている。ニュージーランドのインフレ率は年率6.7%で、2022年4-6月期に記録した30年ぶりの高水準である7.3%からそれほど低下していないうえ、賃金上昇を含むニュージーランドの雇用市場は依然として堅調である。インフレと労働市場に減速の兆しが見られない限り、RBNZの利下げは遠のく。RBNZのフォワードガイダンス(先行き指針)に注目が集まる中、政策金利据え置きとなる兆候が見られれば、ニュージーランドドルの上昇にブレーキがかかる可能性がある。
これとは対照的に、米国連邦準備制度理事会(FRB)は利上げ停止の可能性を示唆しており、今週初めに発表された4月の米国消費者物価指数(CPI)も利上げ停止の観測を裏付けるものだった。金利市場は、FRBが年末までに政策金利を75ベーシスポイント引き下げると見ている。主要国を比較した相対的な金融見通しは今のところ、ニュージーランドドルに有利なように思われる。もちろんリスクは、長引く銀行システム危機への懸念や米国の債務上限問題に関する不透明感に対する注目度の高さから、リスクセンチメントが後手に回っていることで、これはニュージーランドドルの重しとなり得る。
NZドル/米ドル: 3月安値の強いサポートから反発
ニュージーランドドル/米ドルは先月末、3月の安値0.6085の強いサポートから反発した。現在、価格は日足/週足チャート上の一目均衡表の雲上限、4月上旬の高値0.6375が重なる重要なレジスタンスを試している。
これを上抜ければ、3月と4月の安値から形成されるダブルボトムパターンが示唆する上昇軌道をたどり、0.6650へ向けて上昇する可能性がある。重要なことは、このようなブレイクアウトは、高値圏での高値・下値の切り上げパターンを復活させるということだ。当面のレジスタンスは、2月の高値0.6540と200週移動平均線0.6585である。ニュージーランドドル/米ドルが0.6085を割り込むと、下降圧力が再び強まるだろう。そうでない限りは、価格は横ばいからやや上向きの値動きとなりそうだ。
NZドル/米ドル 日足チャート
資料:TradingView
豪ドル/NZドル:重要なレジスタンスから下降に転じる
豪ドル/ニュージーランドドルは、日足チャート上の一目均衡表の雲上限と200日移動平均線から値を下げ、2月の高値1.1085をわずかに下回ったことで、横ばいで推移する確率が依然として高いことが確認された。当面のサポートである4月上旬の安値1.0585を下方ブレイクすると、まずは2022年末の安値1.0470に向けて下落する可能性が出てくる。その後のサポートとして2021年の安値1.0275が控えている。
豪ドル/NZドル 日足チャート
資料:TradingView
英ポンド/NZドル:レンジ中間点に戻る?
英ポンド/ニュージーランドドルは、2022年2月と2022年10月の高値圏である2.0300-2.0530という厳しいレジスタンスから急ピッチで値を下げ、レンジ相場となる可能性が高まっている。レンジの中間点は1.9400付近である。2022年2月の高値2.0530を上回ると、見通しは強気に転じるだろう。
英ポンド/NZドル 週足チャート
資料:TradingView



--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
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