※2023年2月24日17時12分更新
英ポンド/ドル、英ポンド - 見通し
- 英ポンド/ドルは年初からレンジ相場が続く
- しかし、主要なサポートを試しており、英ポンドの脆弱さが見え始めている
- 今後の見通しと注目すべき手掛かりとは?



米個人消費支出(PCE)価格指数の発表を今夜(日本時間22時30分)に控える中、英ポンドは重要なサポートを試しており、脆弱さが見え始めている。
英ポンド/ドルは、1月上旬の安値、200日移動平均線、一目均衡表の雲の下端を含む重要なサポートが収束している水準である1.1840付近に近づいている。日足チャートでは、方向性指数(DMI)における+DIおよびと-DIが引き続き、ともに25を下回っており、レンジ相場の継続を示唆している。
値動き、センチメント、解説
しかし、日中足チャートで下降モメンタムが強まっていることから、1.1840を下方ブレイクする確率が高まっている。トレンド/モメンタム指標に基づいて色分けされた240分ローソク足チャートを参照されたい。前回の記事で指摘したように、1.1840をブレイクすると、小型のダブルトップ(昨年12月と1月の高値で形成)が発生し、1.1250に向けて下降する可能性が出てくる。さらに重要なことは、このようなブレイクにより、昨年9月から続く高値圏での高値・底値の切り上げパターンが終了する可能性があることだ。
英ポンド/ドル 日足チャート
資料:TradingView
英国経済は昨年10-12月期にかろうじてリセッション(景気後退)入りを回避したが、 最近、製造業、サービス業、小売業における英国の経済指標は予想を上回る内容が続いており、実際の数値 が示す以上に英国景気は回復していることを示している。金利市場は、イングランド銀行(BOE、中央銀行)が今夏までに3回利上げを実施し、政策金利の誘導目標を4.75%(現在の政策金利は4.00%)に引き上げることを織り込み始めている。英国の経済指標が好転した先週以前の予想では、利上げ実施回数は2回と織り込まれていた。
英ポンド/ドル 240分足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:Metastock
一方、最近の堅調な米経済指標を受け、市場は米連邦準備制度理事会(FRB)があと3回の利上げを実施し、利上げの最終到達点は7月までに5.30%をやや上回ると予想している。これまでのところ、BOEは金利のピークが近いことを示唆している一方、FRBは前回1月31日-2月1日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で利上げペースが鈍化するとの見方は示さなかった(今週発表されたFOMC議事要旨でもタカ派的な姿勢が示されていたようだ)。
英ポンド/ドル 240分足チャート
資料:TradingView
市場が完全に織り込んでいるBOEの利上げ回数は2回なのに対し、FRBの利上げ回数は3回を完全に織り込んでいることから、英ポンドよりもドルが有利なように見える。この点に関しては、FRBが重視しているインフレ指標である1月米個人消費支出(PCE)価格指数の発表が今夜(日本時間22時30分)予定されており、何らかの手がかりとなりそうだ。1月の米コアPCE価格指数は前年同月比4.3%上昇と、前月の4.4%から低下するが、前月比での伸び率は0.4%と、前月(0.3%)を上回ると見られている。予想を上回る内容となれば、英ポンド/ドルの重しになる可能性がある。
--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著