※2023年4月21日13時00分更新。
安全資産、ビットコイン、金、銀、米ドル―トーキングポイント
- ビットコイン価格は金・銀価格との関係が高まっている
- 一方、米ドルとの関係が低下しており、有事の安全資産としての性質を備えつつある
- 地政学リスクの解消、法定通貨の地位回復がなければ長期的に上昇トレンド継続?



金・銀・ビットコイン? VS 米ドル
ビットコインを含めた暗号資産市場が変化しつつあることについて「ビットコイン価格見通し:ビットコイン市場に変化!?」で説明した。ビットコインは仮想通貨業者の不正等を背景に乱高下を続けてきた。規制強化の議論や暗号資産業者の告訴等が続いているが、有事の際の安全資産としての性質を持ちつつあるのかもしれない。安全資産の代表格である金・銀との連動性(相関)が高まっている。特に2020年のコロナショックや2023年の金融不安の際に金や銀との連動性(同じように価格が動く傾向)が高まっており、有事の際の安全資産のように動いている。

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成。値がプラス1に近づくほど金や銀価格とビットコイン価格が同じように動くことを示す。
一方、近年ビットコインと連動性が低下してきた資産として米ドルがある。コロナショック前はビットコインと米ドルは小幅にプラスの相関(米ドルが上昇する時ビットコイン価格に上昇する傾向)を示していたが、現在はマイナスの相関(米ドルが下落する時にビットコイン価格が上昇する傾向)を示している。ビットコイン価格と米ドルの値動きが逆になってきた背景として、米ドルを中心とした既存の法定通貨に対する信認が低下してきていることを示唆しているのかもしれない。コロナショックに対応するために各国は債務(国の借金)を増やしてきた。また、ロシアによるウクライナ侵攻、米中対立等地政学リスクが高まってきていることにより、米ドル等の既存の法定通貨に対する信認が低下している可能性がある。その結果、特定の発行国を持たない無国籍通貨とも言える金、銀、そしてビットコイン価格が上昇している可能性がある。

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成。値がプラス1に近づくほど米ドル指数(DXY指数)とビットコイン価格が同じように動くことを示す。
「ビットコイン価格見通し:更なる飛躍に向けて」の通り、ビットコイン価格は弱気のダイバージェンスが示現しており、短期的には中立の見通しである。しかしながら、地政学リスクの解消や米ドル等の既存の法定通貨の地位が回復しない限り、規制や不正等で変動を繰り返しながらも長期的にはビットコイン価格は上昇していく可能性がある。
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著