ドル、米ドル指数、FRB、FOMC、中国、ユーロ/ドル、英ポンド/ドル - トーキングポイント
- FRB高官の発言を受け、ドルは軟調に推移
- 中国経済の再開は、景気刺激策によってさらに後押しされるかもしれない
- こうした中、リスクと景気の動向に連動しやすい資産は恩恵を受けている。この動きは今後もドルの押し下げ要因になるのか?
9日のニューヨーク外国為替市場で米ドル指数は7カ月ぶりの安値を付け、ドル相場はきょう10日のアジア取引時間帯も弱含みで推移している。
サンフランシスコ地区連銀のメアリー・デイリー総裁とアトランタ地区連銀のラファエル・ボスティック総裁はともに9日、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利は今後も上昇し続け、年央までに5%を超える可能性があると指摘した。
この水準は、先物・スワップ市場が現在、織り込んでいる金利よりも高い。ただ、FRB高官からは、2月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ幅が25ベーシスポイント(bp)となる可能性も示唆され、利上げペース鈍化に期待する様子もうかがえる。
25bpか50bpかの議論では、今週12日(日本時間午後10時半)発表の米消費者物価指数(CPI)が重要な要素であり、ブルームバーグのエコノミスト調査では、12月のCPIは前年同月比6.7%の上昇と予想されている。
FRBはインフレ抑制のため米国経済の成長鈍化は避けられないとの見解を示し続けているが、市場は今年後半に利下げが実施される可能性があると考えているようだ。
他には、中国がインフラ投資のため、地方政府の特別債発行枠を過去最大にすることを検討していると報じられている。卑金属(ベースメタル)価格は、世界第2位の経済大国である中国の工業生産活動が再び活発化するとの見通しから上昇した。
オーストラリアドル、ニュージーランドドル、カナダドルなどの景気動向に敏感な通貨は、今週これまでに大幅な上昇を記録しており、中国経済の再開はリスク資産全般を支える要因となっている。
米ドル指数は、加重平均された主要通貨であるユーロ(57.6%)、円(13.6%)、英ポンド(11.9%)、カナダドル(9.1%)、韓国ウォン(4.2%)およびスイスフラン(3.6%)に対する米ドルの強さを示した指数のことである。
このような指数の成り立ちを鑑みると、9日にユーロ/ドルが7カ月ぶりの高値を付け、同時に米ドル指数が7カ月ぶりの安値を更新したのは驚くに値しない。また、英ポンドは対ドルで1カ月ぶりの高値となり、上昇ぶりが目立った。この指数に含まれる他のすべての通貨は、米ドルをアウトパフォームしている。
12日の米CPI発表に先立ち、きょう10日はパウエルFRB議長の講演が予定されており、今後の金融政策に対する議長の見解を探る鍵となりそうだ。
米ドル指数、ユーロ/ドル、英ポンド/ドル
資料:TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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