円、ドル/円、ドル、ドル/人民元、人民元 - トーキングポイント
- ドル/円は、日本の経済指標がまちまちだった中、上昇し続けている
- 円安は地域経済により大きな影響を与える可能性がある
- 円にとってプラスなら、人民元にとってもプラスかもしれない
週明け31日の円相場は引き続き、下げて始まった。今朝発表された9月の小売売上高は好調だったものの、9月鉱工業生産は予想を下回り、まちまちの結果となった。
一方、中国の10月購買担当者景気指数(PMI)は予想、前月の結果を共に下回る低調な内容だった。
日本の9月工業生産(速報値)は前月比1.6%低下と、予想(同0.8%低下)を下回り、鉱工業生産(速報値)も前年同月比9.8%上昇と、予想(同10.5%上昇)を下回った。
一方、日本の9月小売売上高は前月比1.1%増と、予想(同0.8%増)を上回り、前年同月比でも4.5%増と、予想(同4.1%増)を上回った。
小売売上高が急増した要因としては、9月に訪日観光客が大幅に増加したことが考えられる。
日本政府が発表した速報値では、1月の17,766人に対し、9月は206,500人の観光客が来日している。月別の増加率はかなり直線的に伸びている。
観光客が増えたのは、新型コロナウイルスの水際対策が緩和されたことが寄与している。規制を緩めない中国とは対照的に、日本への渡航や日本国内での旅行に関する規制は緩和されている。
中国の大企業の購買担当者を対象に調査した中国の10月製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.2と、予想の49.8より低下し、中国の景気見通しに影を落とした。非製造業PMIは48.7と、予想(50.1)を大きく下回った。
PMIは50を景況改善・悪化の分岐点とし、50を上回ると景気拡大、下回ると景気後退と見られている。
この低調な結果は、ゼロコロナ政策による逆風が続いていることを反映しているのかもし れない。中国の決算シーズンが終わろうとしている。これまで決算を発表した企業のうち、約4分の1が予想を下回り、残りは予想通りであった。
中国は日本にとって最大の貿易相手国であり、日本の輸出入の約22%は世界経済大国第2位の中国と第3位の日本の間で行われている。
概して、人民元は円に対して上昇しており、これは最終的に日本経済にはプラスに働くことになる。
日銀が円買いドル売りの介入を実施する前の今月初め、円は対ドルで151.95と、32年ぶりの安値を付けた。
同時期、人民元もドルに対して下落しており、これは対米貿易黒字が大きい中国にとっては有利に働く。
ドル/円が上昇すれば、中国当局はドル/人民元が同方向(ドル高人民元安)に動くことを容認するかもしれない。
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資料:TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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