※2023年3月6日14時50分更新
今週はパウエルFRB議長の証言や日銀の会合など、ドル/円の方向性を決めるような重要なイベントが控えており、円は不安定な展開となる可能性がある。
円、ドル/円、ドル、日銀、パウエル議長、FRB、米国債利回り - トーキングポイント
- 円は先週金曜に下支えされた流れを引き継ぎ、週明けは底堅く推移
- 日銀は今週9、10日に開く金融政策決定会合で政策を据え置く可能性が高い
- パウエルFRB議長の証言で米国債利回りが動く可能性がある。ドル/円も同様の動きとなるか?
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円相場は、米国債利回りが低下したことを背景に底固い展開となっているようだ。米国債利回りの動きは、今週のドル/円の動向を占ううえで鍵となるかもしれない。
重要なのは、7、8日(米国時間)にジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が上院銀行委員会で、すでに議会に提出した金融政策と経済に関する報告書に基づき行う半期に一度の証言だ。
パウエル議長の証言は、今後のFRBの誘導目標金利の行方を探るうえで手がかりになるとして注目されており、議長の考えはじっくりと吟味されることになる。
FRBがタカ派姿勢から後退することが示唆されれば、市場は活性化し、米国債利回りはさらに低下するかもしれない。もちろん、引き締め政策が維持され、さらに積極的な引き締めが示されれば、米国債利回りは上昇する可能性が高まる。
金利先物・スワップ市場では、3月、5月、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で、少なくともそれぞれ25ベーシスポイントの引き締め実施が織り込まれている。



また今週は、日銀(BOJ)が金融政策決定会合を開き、10日には金融政策が発表される予定だが、政策は現状維持というのが大方の市場予想である。
日銀は当座預金へマイナス0.10%を付利し、誘導目標である10年物国債金利の変動幅はゼロを中心に0.50%に拡大することで、イールドカーブ・コントロール(YCC)政策を維持している。10年物国債利回りは、上限である0.50%付近で取引される状態が続いている。
日銀次期総裁候補の植田和男氏は先週、黒田東彦総裁と同じ政策スタンスを維持すると明らかにした。
少なくとも現時点では、である。昨年12月に10年物国債金利の変動幅をプラスマイナス0.25%からプラスマイナス0.50%に拡大したように、2023年4-6月期または7-9月期に同様の政策調整の動きがあるとの観測が強まっている。
日銀の大規模緩和策が据え置かれるとの予想が多い中、当面はFRBの積極的な引き締め姿勢が引き続き、ドル/円の原動力となるかもしれない。
パウエル議長の証言と日銀の金融政策決定会合のほか、今週は米雇用統計と日本の国内総生産(GDP)の発表があり、これらがボラティリティを誘発する一因となる可能性がある。
ドル/円、2年・10年物米国債利回りの推移
資料:TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
マッカーシー氏に連絡するには、Twitter で @DanMcCathyFX までお願いいたします。