※2023年3月18時19分更新
豪ドル/米ドル、豪ドル - トーキングポイント



7日の豪ドル/米ドル相場は、オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)が30年来の高水準にあるインフレ抑制のため、政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートを25ベーシスポイント(bp)引き上げた後、下落した。声明ではさらなる利上げの可能性が示唆され、市場ではRBAが過度な引き締めに動くのではとの懸念が高まった。
RBAは、政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートの誘導目標を0.25ポイント引き上げ3.60%とし、さらなる金融政策の引き締めが必要との考えを示した。インフレ率が2022年10-12月期に30年ぶりの高水準に達し、RBAの金利目標範囲である2-3%を大きく上回ったため、0.25ポイントの引き上げは大方の予想通りの結果である。RBAは先月、政策金利を3.35%まで引き上げた後、利上げを停止するという従来の計画を取りやめ、さらなる金融引き締めが必要であることを示唆した。RBAも他の中央銀行同様、さらなる引き締めをほのめかしている。米連邦準備制度理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)を含む中央銀行の当局者らは、インフレ抑制のためにはさらなる努力が必要だと述べている。
豪ドル/米ドル 5分足チャート
資料:TradingView
一方、中国政府は5日、中国で国会に相当する全国人民代表大会(全人代)の年次総会で、2023年の実質経済成長率の目標を、昨年の約5.5%を下回る5%程度に掲げた。この目標は、アナリストが予想した範囲の下限であり、豪ドル/米ドルの重しとなった。しかし、先週発表された中国の製造業とサービス業の購買担当者景気指数(PMI)が予想を上回り、中国経済の再開が経済指標に表れ始めていることが示された。中国はオーストラリアにとって最大の輸出相手国であることから、中国の経済成長見通しが改善されれば、オーストラリアの景気見通しも上向く可能性がある。
しかし、今のところ、きょう、明日(米国時間)に予定されているパウエルFRB議長の半期に一度の議会証言待ちのムードとなっている。ここ数週間、米経済指標が好調で米経済の堅調ぶりが示されたため、金融市場はFRBの金融政策を見通すうえで、パウエル議長の証言を注意深く見守っている。特に、FRBが積極的な利上げを検討しているのであれば、市場はFRBの利上げ方針に関する手掛かりを得ようと、議長の証言に注目するだろう。パウエル議長は1カ月前の講演で「ディスインフレ」を強調し、堅調な米雇用統計が発表されたにもかかわらず積極的な利上げ姿勢を示すまでには至らなかった。米金利先物市場では、現在4.50-4.75%となっているFRBの誘導目標が9月に5.48%前後でピーク(利上げ最終到達点)を迎えると織り込まれている。1月末時点のピーク予想は5%未満だった。
オーストラリアの金利見通し
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:ブルームバーグ
対照的に、3月に入ってからのオーストラリアの経済指標は、エコノミック・サプライズ指数(ESI)に反映されているように、精彩に欠ける内容となっている。オーストラリアのESIは、2020年の低水準付近に落ち込んでいる一方、米国のESIは10カ月ぶりの高水準にある。経済成長見通しに格差があることは、ここ数週間、豪ドル/米ドルの重しとなっている。
豪ドル/米ドル 日足チャート
資料:TradingView
テクニカルチャートを見ると、豪ドル/米ドルは、先週の高値0.6780に位置する手強いレジスタンスに直面している。これは、240分足チャート上の89期間移動平均線と一目均衡表の雲の上端ともほぼ一致した水準である。2月に下落が始まって以来、豪ドル/米ドルは89期間移動平均線と一目均衡表の雲の上端を超えられずにいる。これらを上抜けると、当面の底値が形成される公算が大きい。このブレイクが実現すれば、2月下旬の高値である0.6920に向かって上昇する可能性が開かれる。
下降局面では、昨年11月下旬の安値0.6585が強力なサポートとなっており、4カ月にわたる上昇トレンドを維持するためには、このサポートを上回る必要がある。
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--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著