金、XAU、パウエル議長、インフレ、景気後退、テクニカル分析 - トーキングポイント
- 金相場は、アジア株式市場で買いが優勢となる中、夜間の上昇幅を縮小した
- 原油価格と景気後退リスクの動向が、金相場の短期的な方向性の鍵を握る
- XAU/USDは相場転換の可能性が残る中、狭いレンジで取引されている
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米国株式相場が一夜にして下落に転じた後、金価格は上昇幅を縮小している。金は、株式市場の下落に対するヘッジとしての魅力がある。22日のナスダック100指数（NDX）は続伸した後、反落し、0.16％安で取引を終えた。続く23日のアジア市場で株価は大幅に上昇しており、金価格下落の理由を裏付ける形となっている。ジェローム・パウエル米連邦準備制度理事会（FRB）議長は22日早朝、上院銀行委員会で証言したが、議長の発言が世界的な景気後退に対する市場の不安をあおる格好となった。
物価上昇圧力に対抗するためにFRBは利上げを実施するとしており、パウエル議長の発言は金相場（XAU/USD）にとって特に重要である。インフレの上昇は金相場の支えになったが、米連邦公開市場委員会（FOMC）の動きを背景とした米国債利回りの上昇という逆風に直面している。金には金利がつかないため、国債利回りの上昇は通常、金相場にとってマイナス要因となる。
一方、FRBが75bpsの利上げを実施したこともあり、予想インフレ率はやや低下した。2年物米国債のブレークイーブン・インフレ率は22日に3.68%に低下し、2月以来の低水準となった。この低下は、インフレを鎮めるためのFRBの取り組みが意図した通りに機能していることを示唆している。さらに、原油が広範にわたってインフレを左右する重要な原動力となっていることを鑑みると、原油価格の下落も金価格に影響を与えそうな要因である。WTI原油先物は週初から5%近く下落し、先週の8.5%の下落からさらに下げ幅を拡大している。
原油の下落は、景気後退の可能性が高まっていることを反映しており、金には有利に働くかもしれない。ただ、このように金にとってのファンダメンタルズは相反しており、金相場の立ち位置は不安定と言える。投資家にとって金は、価値が保存されている資産であり、景気後退期に投資先資産として魅力的である。米ミシガン大学が24日に発表する6月の米消費者態度指数（確報値）では、物価上昇に対する消費者景況感が更新される予定で、それが予想インフレ率を左右する可能性がある。
今週は経済イベントが少ないが、来週27日（月）にアトランタ連銀が米国内総生産（GDP）の予想レポート（GDP Now）を発表する予定だ。直近の予想レポートでは、第2四半期のGDP成長率予想が0.0％に低下し、注目を集めた。来週発表されるレポートでマイナスのGDP予想が示されると、貴金属市場ではボラティリティが上昇する可能性がある。
XAU/USDテクニカル分析
金相場は月曜日以降、1830レベルのすぐ上の水準で小幅にもみ合う展開となっている。この間、RSI（相対力指数）とMACD（通称マックディー）は、それぞれの中間値の下の位置で安定した推移を見せている。こうした動きは、ブレイクアウトまたはブレイクダウンを示唆している可能性がある。下降局面では、心理的に重要な1800の水準が支持線に、また上昇局面では、フィボナッチリトレースメント61.8%や上昇トレンドラインが上値抵抗線となる可能性がある。
XAU/USD 日足チャート
チャート作成： TradingView
--- DailyFX.com アナリスト トーマス・ウェストウォーター著
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