ユーロ、ユーロ/ドル、ドル、中国、米CPI、FRB - トーキングポイント
- ユーロ/ドルは、ドル安に伴い大きく上昇も、失速
- 中国情勢が引き続き、市場の成長見通しに大きく影響する
- 10日発表の米CPIが市場を驚かせる内容なら、ユーロ/ドルはどこへ向かうのか?
ユーロ/ドルのテクニカル分析
ユーロ/ドルは先週金曜、中国がゼロコロナ規制を緩和するとの期待からドル安となった流れを受け、上昇した。ゼロコロナ政策に基づく規制は、世界第二の経済大国である中国の企業活動を妨げている。
ユーロは、他のどの主要通貨よりもこの思惑で上昇した。恐らく、ドルのロングポジション(ドルの買い持ち)割合が、円、英ポンド、スイスフランよりも多いためだろう。
ユーロの上昇は、中国がゼロコロナ政策から脱却する計画を詳述した出所不明の文書が出回ったことがきっかけだが、その後、中国の国家衛生健康委員会の当局者がゼロコロナ政策堅持の方針は揺るがないと発言し、中国の経済再開への期待を一蹴した。
このことを考慮すれば、ユーロ/ドルが週明け7日に下落して始まり、相場が反転したことは想定範囲内である。
豪ドルやニュージーランドドルなど、より景気動向に敏感な通貨は、週明けの米ドル高の影響が他通貨よりも大きかった。
今週は、10日(日本時間午後10時半)に発表される米国の消費者物価指数(CPI)が焦点となる。ブルームバーグのエコノミスト調査によると、10月のCPIは前年同月比7.9%増加と予想されている。前回9月の8.2%増からは伸び率がやや鈍化する見通しだ。
この予想が外れた場合、米連邦準備制度理事会(FRB)が現在の利上げ路線に変更を加えるかもしれず、相場のボラティリティが上昇する可能性がある。
ユーロ/ドルのテクニカル分析
ユーロは、直近高値0.9976および1.0000のブレイクポイントのすぐ手前でそれぞれ失速した。
これらの水準は、直近高値1.0094のすぐ下に位置するもう一つのブレイクポイント1.0090を目指す前に、引き続きレジスタンスとなる可能性がある。
最近の上昇により、ユーロ/ドルは10日、21日、34日、55日単純移動平均線(SMA)を上回り、短中期の弱気モメンタムが一服していることを示唆している。
ユーロ/ドルがこれらのSMAを上回る水準で推移し続ければ、下降しているSMAはすべて上向きに転じ、強気モメンタムの発生を示唆する可能性がある。
右肩下がりの100日および200日の長期SMAは、引き続き価格を上回って推移しており、今のところは基本的に弱気のモメンタムが維持されているように見受けられる。
サポートは、以前の安値0.9730、0.9705、0.9632、0.9536になる可能性がある。
資料:TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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