原油、ドル、WTI、ブレント、FOMC、FRB、英中銀、欧州中銀、OPECプラス、中国 - トーキングポイント
- 原油価格は週明けから下げが続いたが、サポートに支えられ、今は落ち着きを取り戻している
- FRB、英中銀、欧州中銀の引き締めで景気後退懸念が高まっている
- 中国経済が再開する中、OPECプラスは生産目標を維持。WTI原油先物の行方は?



今週の原油先物相場は、中国経済再開への期待が後退したことを背景に、動きの激しい1週間となった。
米連邦準備制度理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(BOE、中央銀行)はここ数日で、いずれも利上げを実施した。株式は全般的に上昇したが、原油相場は苦戦を強いられている。
中央銀行が世界的に金融引き締め姿勢を強めていることが、これら主要国で景気が後退するとの見方につながっている。
パウエルFRB議長が「今年の利下げはない」と明言したにもかかわらず、市場はFRBが利上げサイクルの終わりに近づいている可能性があると解釈した。金利先物・スワップ市場では12月の利下げが織り込まれている。
2日のニューヨーク外国為替市場でドル相場は上昇したが、他の通貨や金相場に対して総体的には低迷を続けている。主要通貨バスケットに対する米ドルの強さを示す米ドル指数は、10カ月ぶりの低水準付近にとどまっている。
ドル安は、米国以外の国にとっては石油が自国通貨で安く仕入れられることを意味するため、他国での石油需要増加につながるかもしれない。



米連邦公開市場委員会(FOMC)会合に先立ち、米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間在庫統計によると、先週27日までの1週間の原油在庫は410万バレル増加し、市場予想を大きく上回った。
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国で構成するOPECプラスは、1日開いた合同閣僚監視委員会で、現在の原油生産目標を維持する方針を確認した。
その他、欧州では近く、ロシア産石油製品に対するさらなる規制が導入されると見られている。
原油価格の先行き見通しは、中国がゼロコロナ政策からスムーズに脱却できるかどうかに大きく左右されるように思われる。中国からの需要が増えれば、世界の他地域の消費鈍化を相殺するのに十分かもしれない。
WTI原油先物のテクニカル分析
ウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油先物は、昨年12月に12カ月ぶりの安値を付けた後、上昇に転じ、上昇トレンドチャネル内で高値と安値を切り上げる展開となった。
価格が下落した昨日2日は、トレンドチャネルの下限ラインであるサポートを試したが、下値は維持された。75.00付近に位置するこの下限ラインと下値はサポートとなる可能性がある。その下には過去の安値圏である72.46と70.08が控えている。
価格は今週、短・中・長期の単純移動平均線(SMA)をすべて下回り、今後、下限ラインを割り込む動きとなれば、弱気の勢いが増す可能性がある。
ほとんどのSMAが下降している中、21日SMAだけは正の勾配を維持しており、現段階では市場は方向感に欠けると示唆しているのかもしれない。21日SMAが下降に転じた場合は、弱気の勢いが増すことは避けられなくなる恐れがある。
上昇局面では、過去の高値が密集している82.48-82.72付近、その後は昨年12月の高値83.34がレジスタンスとなりそうだ。

資料:TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
マッカーシー氏に連絡するには、Twitter で @DanMcCathyFX までお願いいたします。