※2023年3月1日15時16分更新
豪ドル、豪ドル/米ドル、豪GDP、S&P ASX 200、豪CPI、豪中銀 – トーキングポイント
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オーストラリア統計局が1日発表した2022年10-12月期の国内総生産(GDP)は前期比0.5%増で、事前予想(同0.8%増)、0.6%増から0.7%増に上方修正された前期をともに下回った。これを受け、オーストラリアドルは67セントを割り込んだ。
前年同期比では2.7%増と予想通り。前期は5.9%増だった。
2022年10-12月期の豪GDPは、来週火曜に開催されるオーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)の金融政策決定会合に先立ち発表された。RBAは、政策金利であるオフィシャルキャッシュレートの誘導目標を25ベーシスポイント(bp)引き上げ、3.60%とすると見られている。そうなれば、昨年5月の利上げ実施以来、10回目の利上げとなる。
最新の豪インフレ指標は前年同月比7.8%上昇と、RBAの誘導目標である2-3%を大幅に上回っている。オーストラリアのGDPは、昨日の小売売上高と経常収支に続いて発表された。
2022年10-12月期の豪経常黒字は141億豪ドルと、予想の55億豪ドルを大きく上回り、前期は23億豪ドルの赤字から8億豪ドルの黒字に上方修正された。
1月の豪小売売上高は前月比1.9%増となり、予想(同1.5%増)、前月(同4.0%減)をともに上回った。
豪州景気に関し、オーストラリアの経済指標が示すシグナルはまちまちだが、RBAとしては、著しく上昇しているインフレを抑制するため、短期的にはさらなる引き締めに動くほか道はないように見える。
今後の行方については不確実性が高く、やや不透明であるように思われる。いくつかの経済指標は、今後の欧州景気の悪化を示唆している。住宅価格は下落し続け、景況感指数も悪化している。
資料:ブルームバーグ
資料:ブルームバーグ
問題をさらに深刻化させる可能性があるのが、いわゆる「崖っぷちの住宅ローン」問題だ。パンデミック時に低い水準の固定金利で借り入れられた多くの住宅ローンが今年満期を迎え、借り手は300bp超高い金利での借り換えを強いられるためだ。
これらのことは、RBAの前途が多難であることを示している。最新の豪雇用統計では、労働市場のひっ迫が若干緩和されているが、失業率は3.7%で、過去の水準からすると依然として比較的ひっ迫した状態と言える。総需要が軟化しているときに物価上昇を抑制すると、スタグフレーションの深化につながる恐れがある。
このシナリオは豪ドル/米ドルを弱気な見通しに導く可能性があるが、逆に豪ドル安は国内経済を後押しするかもしれず、それは特に中国経済が順調に成長した時、さらに支援材料となるだろう。今週末から開幕する全国人民代表大会(全人代)が、この見通しについて何らかの手掛かりを与えてくれるかもしれない。



--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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