上昇トレンドを維持するドル円 147円台が目前に
【サマリー】
- 黒田日銀総裁は金融緩和政策の維持をあらためて表明
- ドル円は146.97レベルまで上昇し147円台が目前に
- 焦点は9月の米消費者物価指数(CPI)
- 9月米CPIと外為市場の反応について
![](https://a.c-dn.net/b/0YPMDo/logo-stripe.png)
![米ドル相場見通し【無料】](https://a.c-dn.net/b/2o6KQV/500x707Forecast-USD.png)
![米ドル相場見通し【無料】](https://a.c-dn.net/b/2o6KQV/500x707Forecast-USD.png)
・ドル円は上昇トレンドを維持 147円台が目前に迫る
12日の外為市場で米ドル相場は、売り買いが交錯する展開となった。
しかし、ドル円(USDJPY)は上昇トレンドを維持し、高値146.97レベルを付ける局面が見られた。
日本銀行の黒田東彦総裁は12日、米ワシントンでの国際金融協会(IIF)の年次会合で、2%の物価目標を達成するまで現行の金融緩和政策を維持することをあらためて表明した。
円買い介入の警戒感はくすぶるものの、今の上昇トレンドの軸が日米の金融政策スタンスの差とそれを反映した日米利回り格差の拡大にある以上、どの水準まで上昇するのか?この点が、ドル円の焦点としてあり続けよう。
ドル円が147円台へ上昇する場合、注目したいのが1998年8月の高値147.67レベルのトライおよびブレイクである。当時はこの水準まで到達した後、ドル円は急落する展開となった。
しかし上で述べたとおり、金融政策スタンスの差と利回りの格差拡大が上昇トレンドの軸になっている状況を考えるならば、日米どちらかが政策転換に踏み切るか、景気後退のリスクが強く意識されることで米金利が低下トレンドへ転じない限り、ドル円は現在の上昇トレンドを維持する公算が大きい。
ゆえに今は、147円台への上昇と147.67レベルのトライおよびブレイクを意識する局面にある。
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -2% | 2% | 0% |
週次 | 12% | -16% | -6% |
・反落局面では144.90のサポート転換が焦点に
一方、円買い介入以外の理由でドル円(USDJPY)が反落する場合は、突破するまで強固なレジタンスポイントとして意識されていた144.90レベルがサポートポイントへ転換するかどうか?この点に注目したい。
来週には、短期サポートラインの水準が144.90以上となる(17日に144.90レベルと交錯する)。テクニカルの面でも144.90台の維持は重要な焦点となろう。
9月26日以降、相場をサポートする局面が見られる10日移動平均線(MA)の下方ブレイクは、144.90(または短期サポートライン)をトライするシグナルとして想定しておきたい。
一方、円買い介入によりドル円の下落幅が拡大する場合は、142.00前後および140円台の維持が焦点となろう。
どの水準までドル円が下落するにせよ、円買い介入は新たな「米ドル買い/円売り」の機会を外為市場の参加者に提供するだけになると予想する。
ドル円のチャート
Trading View 日足(今年8月以降)
テクニカル分析入門
サポートとレジスタンス
テクニカル分析の基本 サポートとレジスタンスについて学ぼう
目先の焦点は9月米消費者物価指数(CPI)
・9月米CPIと予想される外為市場の反応
ドル円(USDJPY)
今日の外為市場は、9月米消費者物価指数(CPI)の内容次第でトレンドが決定されよう。
住居費の上昇等によりインフレリスクの根強さを強く意識させる内容となれば、連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締めの長期化が意識されることで、米債市場では利回りに上昇圧力が高まることが予想される。
米金利の上昇は米ドル相場の押し上げ要因となろう。ゆえに強い9月米CPIは、ドル円(USDJPY)が147円台の攻防へシフトする要因となろう。
英20年債や30年債の利回りが再び上昇基調へ転じており、ポンドは売り圧力に直面しやすい状況にある。
このタイミングで9月米CPIが予想以上の内容となれば、ポンドドル(GBPUSD)で下落幅が拡大することが予想される。
ポンド円(GBPJPY)は、ドル円の上昇がポンドドルの下落を幾分か相殺するだろう。しかし、ポンド円とポンドドルとの相関性が高まっている現状を考えるならば、強い9月米CPIでは下落リスクを警戒したい。
米国株とオセアニア通貨
また、9月米CPIでインフレリスクが強く意識される場合、米国株は下落することが予想される。
ゆえにリスク資産と高い相関関係にある豪ドルやNZドルは、対米ドルと円で下落する展開が予想される。
9月米CPIでインフレリスクが後退する場合は?
一方、9月米CPIでインフレリスクへの懸念が後退する場合は、「米金利の低下→米ドル安/米株高」の展開が予想される。
このケースでは、ドル円の反落を想定しておきたい。まずは、上で述べた10日線の維持に成功するかどうか?この点を見極めたい。
ポンドドルは続伸が予想される。ポンド円はポンドドルの動きに追随する可能性が高いだろう。
豪ドルやNZドルは「インフレリスクの後退→米株高」にサポートされ、対米ドルや円で上昇することが予想される。
米消費者物価指数(CPI)の推移
米労働省/ブルームバーグのデータより作成 / 月次(2020年以降)/前年同月比(%)